8月24日、山形市の第十中学校で生徒13人が熱中症の疑いで運ばれた事案ついて、炎天下のグラウンドでの活動を続けた判断は適切だったのか? 学校の会見から、問題点が浮かび上がっている。

「暑さ指数」測定も…生徒13人熱中症で搬送

24日午前9時半ごろ、山形十中から消防に通報があり、グラウンドで体育祭の練習をしていた生徒13人が熱中症の疑いで病院に運ばれた。生徒は全員、命に別条はなく、24日のうちに帰宅した。

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24日、山形市教育委員会と第十中学校が行った会見では、学校が教育委員会の指針に則って測定した「暑さ指数」の数値が明らかになった。

山形十中・山田博志校長:
暑さ指数の数値を見て動いていた。本校では“1時間ごと”に数値を計って対応していた

「厳重警戒」激しい運動は中止レベルで練習を続行

山形十中が行った24日最初の測定は午前8時。暑さ指数は「27.7」と5段階中3番目、積極的に休憩をとる「警戒」だった。学校は“練習可能”と判断し、午前8時半に全校生徒がグラウンドに集合した。

次の測定は、練習が始まる午前9時。暑さ指数は「28.7」で5段階中2番目、激しい運動は避ける「厳重警戒」だった。

山形市教育委員会 学校教育課・細谷直樹課長:
「厳重警戒」激しい運動は中止レベルだったが、休憩を十分にとりながら練習の実施を判断した

学校は練習の続行を決め、その結果、リレーの練習をしていた3年生を中心に体調不良を訴える生徒が相次ぎ、午前9時半の119番通報へとつながった。

数値が、激しい運動は中止の「厳重警戒」だったにもかかわらず練習を続けたのは、「暑さ指数に則った判断」といえるのだろうか。また、リレーは“激しい運動”ではないのか。

そして、会見では、山形十中の山田校長から「気になる発言」が…。

山形十中・山田博志校長:
3年生についてはリレーだったので、1・2年生が見ていて頑張ってしまったのかもしれない。練習の強度については、コースを知るだけでよかったが、頑張ってしまう思いもあると思う

「予想よりも子どもたちが頑張ってしまった」と、山田校長は繰り返し当時の状況を話していた。

「子どもはあまり自分から体調異常を訴えない」

県内では7月28日、山形・米沢市で部活動帰りの女子中学生が熱中症の疑いで亡くなったばかり。この事故の直後、救急医学の専門医はこう警鐘を鳴らしていた。

山形大学医学部 附属病院・中根正樹救急部長:
子どもはあまり自分から体調異常を訴えないことが多い。ギリギリの状態だったが頑張れると判断したのかもしれない。まわりの大人がしっかり見てあげるのが大切

炎天下でも子どもが頑張ることを学校は予測できなかったのか。身近で最悪の事態があった中、「見通しが甘かった」では済まされないことを、教育現場は深刻に受け止めるべきなのではないだろうか。

(さくらんぼテレビ)

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