宮崎市は、増え続ける野良猫を保護し地域猫として守る取り組みを行っている。市内で活動する愛護センターを取材した。

宮崎市が行う“野良猫の保護活動”

猫は飼育形態によって大きく3つに分類されることを知っているだろうか?

飼い主がはっきりしている「飼い猫」、飼い主のいない猫のうち不妊・去勢手術を終え、地域で管理している「地域猫」、そして、地域猫以外の飼い主のいない猫の「野良猫」だ。

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宮崎市では、野良猫の糞尿や鳴き声などの猫に関する苦情が、2022年の1年間で746件寄せられた。宮崎市はその対策の一環として、2023年から野良猫への不妊・去勢手術の数を約1.7倍に増やし、野良猫を地域猫として守る活動に力を入れている。

「保護しても減らない」野良猫の現状

宮崎市清武町にある「みやざき動物愛護センター」では、2017年から捨てられたり迷子になったりした動物の保護や治療、譲渡などを行っている。

この日、愛護センターに4匹の猫が運ばれてきた。どんな猫たちなのか…

保護団体「かのうねこ」・岡本美登里代表:
地域に捨てられた猫、またはそこで繁殖した野良猫さんたちで、これ以上かわいそうな命が増えないよう猫を捕獲して手術していただき、また元の場所に戻すという活動をしている

みやざき動物愛護センターでは野良猫の繁殖を防ごうと、月に10回程度、地域ボランティアなどの登録団体が保護した猫に不妊・去勢手術を無料で行っている。

不妊・去勢手術を行うと、繁殖を抑えるだけなく、マーキングによるにおいや発情期の大きな鳴き声など、猫トラブルを減らすこともできる。

宮崎市では、これまで1回あたり雄4匹と雌2匹の合わせて6匹まで、年間600匹が手術の上限となっていたが、2023年度からは雄雌の頭数制限を設けずに、1回あたり10匹まで、年間1,000匹が手術できるようになった。

保護団体「かのうねこ」・岡本美登里代表:
今、野良猫が本当に多く、保護しても保護しても減らない状況。今までは手術に入れない子たちは自分たちでお金を出して手術することもあり、1,000匹に増えたのはとても助かるし、雄雌関係なしにできるように変わったのも助かっている

“人と猫の共存”を目指して…

宮崎市では2020年4月からの3年間、全国で野良猫の繁殖を防ぐ活動をしている兵庫県の公益財団法人「どうぶつ基金」と協力して、野良猫への不妊・去勢手術を行ってきた。その数は、3年間でどうぶつ基金が2,439匹、愛護センターが697匹、合わせて3,136匹にのぼる。

どうぶつ基金の協力事業は2023年3月で終了したが、今後も継続して手術数を確保していくため、宮崎市は2023年度、手術費などの予算を増額した。

手術のスタッフも2人から4人に増員。これまでと同じ程度の年間1,000匹を手術できる体制を維持している。

みやざき動物愛護センター・永田美保センター長:
まずは頭数を増やさないという対策で、不妊・去勢手術は必ず行っていかなければならない取り組み。スピード感を持って行わなければならない事業でもあるので、1年間にたくさんの頭数が手術できることは、野良猫対策の事業がどんどん進んでいくのではないかと思っている

不妊・去勢手術を終えた猫は、目印として耳に「さくら耳」と呼ばれるV字のカットが入れられ、退院後は“地域猫”として、まちの人たちに大切に育てられる。

保護団体「かのうねこ」・岡本美登里代表:
この後は猫を捕獲したのと同じ場所にリターンする。そこで地域猫として「地域みんなで飼っていきましょう」ということで、人間と猫がうまく共存していけるようにしていく。一代限りの命なので、最後まで生き抜いてもらえたらそれだけで十分

みやざき動物愛護センター・永田美保センター長:
人と動物が共生できる宮崎市になれば良いなと思っているので、猫嫌いの人にも存在を認めていただいて、地域で天寿を全うするように見守っていただけたら良いと思う

(テレビ宮崎)

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