店主の病気などで閉店した長野県松本市の人気洋食店が復活し、先日のプレオープンに続き、8月18日グランドオープンを迎えた。店には先日亡くなった2代目の息子たちの姿もあり、「受け継ぐことが親孝行」と話し、将来を見据えている。

閉店から5カ月 人気洋食店が復活
8月18日昼前、店の前にできた行列。長野県松本市の洋食店「民芸レストラン盛よし」。看板メニューは、ジューシーなハンバーグやクリーミーなカニコロッケ。
「盛よし」は2023年3月、店主の病気などを理由に閉店したが、その後、復活。8月18日、グランドオープンを果たした。
店にはこの日を待ちわびていた2人の若者の姿もあった。

母は復活を見届けることできず…
「盛よし」は1979年にオープン。洋食メニューと松本民芸家具が並ぶ落ち着いた店内で、市民に愛されてきた。
しかし、創業者の須沢盛義さんが病気で店に立てなくなり、後を継いだ娘の忍さんも体調を崩し、2023年3月、やむなく閉店した。

最後に、長年の感謝を込め弁当を販売すると300人以上の行列がー。
この日、店を手伝ったのは忍さんの息子・洸一郎さん。調理の専門学校生で、いずれ、何らかの形で店を復活させたいと考えていた。
44年の歴史に幕を下ろした「盛よし」だったが、思わぬ吉報が届く。
社員に店のファンがいた千葉県の会社が、事業を受け継ぐことを表明。かつてのシェフをそのまま雇って8月2日、再出発のプレオープンを果たした。
しかし、店に忍さんの姿はなかった。
4月に亡くなり、復活を見届けることはかなわなかった。

長男「これからも愛してください」
迎えた8月18日のグランドオープン。
2代目の忍さんの長男・洸一郎さんは、店の前で並ぶ客に「これからも愛していただくことをお願いしたいと思いますので、皆さんよろしくお願いします」とあいさつした。
かつてのように、にぎわう店内。
常連客は、「本当にうれしい。めちゃくちゃここのハンバーグが好きなので」、「長く続いてほしい」と話し、復活を喜んだ。

次男「受け継ぐことが親孝行」
洸一郎さんは、祖父や母が忙しく働ていた頃を思い出し、「かつての店の姿がやっと戻って、とてもうれしく思う。スタッフの皆さんと一緒に頑張っていきたい」と気持ちを新たにしていた。
店にはもう一人の若者が。洸一郎さんの弟・広人さん(17)だ。松本第一高校食物科の3年生で、同じく店の手伝いに来ていた。

卒業後は兄と同様、「盛よし」で働くつもりだ。
広人さんは、「母親が焼き場をやっていたので、それを継ぐ形になったのですごくうれしい。思いを受け継ぐことが親孝行かなと思います」と話し、将来を見据えている。
復活した洋食の名店。人気の味は、いずれ若い2人に受けが継がれそうだ。

(長野放送)