夏休みも多くの家庭が利用している放課後児童クラブ、いわゆる「学童保育」。ほとんどが弁当持参だが国は家庭の負担を減らすため、昼食の提供を検討するよう自治体に求めている。保護者からは期待の声があがっているが、長野県内では広がるのだろうか。

長野市鍋屋田小の学童保育
長野市鍋屋田小の学童保育
この記事の画像(9枚)

保護者「早く夏休み終わって」

長野市の鍋屋田小学校。夏休み中だが、にぎやかな教室があった。

児童たちを預かる学童保育の「鍋屋田子どもプラザ」。毎日50人ほどが利用している。

昼、児童は持参した弁当を食べ始めた。

1年生の児童に聞くと、弁当は、朝6時前からお母さんが作ってくれるのだという。

学童保育「鍋屋田子どもプラザ」のお昼
学童保育「鍋屋田子どもプラザ」のお昼

児童にとっては、楽しみな「お弁当の時間」だが、保護者からは「毎朝、作るのが大変」、「普段の給食のありがたみが分かる日々」、「早く夏休みが終わって」という声が。

毎朝の弁当作りは、保護者にとって負担が大きいようだ。

学童保育で「昼食提供」は2割程度

そこで、こども家庭庁は子育て支援の一環として、学童保育での昼食提供を広めようとしている。

既に弁当事業者と連携して提供している東京・港区や奈良市のケースを示し、自治体に検討を促している。

2023年5月1日時点の調査では、提供の有無を把握している全国995の自治体・およそ1万3000カ所の学童保育のうち、提供していたのは2990カ所。全体の2割程度だった。

こども家庭庁の調査
こども家庭庁の調査

長野県内も「弁当持参」がほとんどで、県内19市では、長野市の一部と夏休み中、2日だけ提供している伊那市を除き「弁当持参」が主流。

市内86カ所で学童保育を運営する長野市では、利用人数が日によって異なり、食事の手配がしづらいことなどから「弁当持参」が主流だ。

学童保育での「昼食提供」について、保護者は「自分の時間ができる」、「栄養のバランスを考えてもいい」、「食中毒の心配がない」などと話し、期待の声がほとんどだ。

県内19市ではー
県内19市ではー

キッチンカーで昼食提供する例も

長野市内で唯一、昼食を提供している「稲田児童クラブ」。

保護者の要望を受け、10年以上前から施設内で炊いたご飯と飲食店に手配したおかずを、1食200円で提供している。

費用負担は増えるものの、保護者からは好評だという。

長野市こども政策課の担当者は「アレルギーへの対応や飲食店の手配など課題も多い。まずは保護者のニーズを把握し、検討を進めたい」としている。

長野市の「稲田児童クラブ」では1食200円で昼食を提供
長野市の「稲田児童クラブ」では1食200円で昼食を提供

独自の取り組みをしている伊那市。

この日、西箕輪小学校の学童クラブにやってきたのはキッチンカー。

昼食に提供されたのは、あたたかいカレーライス。

児童からは「おいしい」と好評だ。

キッチンカー 西箕輪小 学童クラブ
キッチンカー 西箕輪小 学童クラブ

「助かる」保護者の期待は大きい

伊那市は飲食店の団体の協力を得て、市内12カ所の学童保育で夏休み中、それぞれ2回、昼食を提供している。国の交付金や企業の寄付を活用しているため、家庭の費用負担はない。

もともとは、コロナ禍の子育て世帯の支援として2021年に始めたものだが、弁当作りの負担軽減や、子どもたちの楽しみにもなればと今年も実施した。

伊那市の子育て支援課は、「長い休みですので、3食、食事の支度をするのは、おうちの方も大変。少しでも家庭の支援ができればというのが目的」と話す。

キッチンカーのカレーライスを提供 西箕輪小 学童クラブ
キッチンカーのカレーライスを提供 西箕輪小 学童クラブ

保護者は、「朝のひと手間が省ける」、「毎日、仕事しながらお弁当作るのが大変、すごく助かる」と話す。

国が求める昼食提供について、市教委はアレルギー対応や衛生設備の整備など課題はあるが、検討を進めるとしている。

保護者の期待が大きい学童保育での昼食提供。

課題は多いものの、各自治体で検討が本格化しそうだ。

西箕輪小 学童クラブの昼食(この日はカレーライスを提供)
西箕輪小 学童クラブの昼食(この日はカレーライスを提供)

(長野放送)

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。