日本時間8月19日、アメリカで行われた日米韓首脳会談は、初めてづくしでした。
日米韓3カ国の首脳会談が、国際会議以外で単独で開催されるのは「初」。
大統領の別荘「キャンプデービッド」にバイデン大統領が外国の首脳を招くのも、就任後初めてのことです。
議題となったのは、ミサイル発射情報の即時共有など、軍事的な挑発を続ける北朝鮮対応での連携。さらに今回の共同文書では、初めて「中国」を名指しして非難。中国の海洋進出も念頭に、安全保障協力を新たな次元に高めることなどを確認しました。
また、経済安全保障やAI、サイバーセキュリティーなど幅広い分野での連携も合意しました。そして、首脳や閣僚会合を毎年開くことを確認。
中長期にわたる協力の指針である「キャンプデービッド原則」を発表しました。
岸田首相が、「日米韓パートナーシップの“新時代”を開いていくという決意を示します」と宣言した今回の首脳会談。3首脳の狙いを解説します。
特別な場所「キャンプデービッド」に招いた理由
今回、会談の会場となったアメリカ大統領専用の別荘「キャンプデービッド」。首都ワシントンから北西に100kmの山の中の静かな場所にあり、外交の舞台でもこれまで特別な役割を果たしてきました。
日本の首相として初めて招かれたのは、1986年、当時の中曽根首相。レーガン大統領と日米首脳会談を行いました。両首脳は互いに「ロン」「ヤス」と愛称で呼び合う間柄まで、個人的な関係を築きました。
その後、2001年に当時の小泉首相が、2007年には安倍首相がそれぞれキャンプデービッドを訪れ、ブッシュ大統領と首脳会談を行っています。
このうち、小泉元首相はブッシュ大統領から革製のジャンパーと大統領直筆のサインが入った野球のボールを贈られ、2人はキャッチボールを楽しみました。
フジテレビ解説委員 風間晋 氏：
日米韓の会談を「歴史的」とか「とても特別な」というふうに言いたいわけじゃないですか。そのために、キャンプデービッドという場所の持つ力を借りたということなんだと。
そして、バイデン大統領、アメリカ政府としては、キャンプデービッドを使うことによって、日本やアメリカでどういうふうに報道され受け止められるのかっていうのを、よく分かった上で、計算した上でこの場所を使ってやっていると思います。
親しげに肩を組む場面も…親密度アピールか
バイデン大統領が2人を出迎えた際、最初にバイデン大統領に握手を求めたのは尹大統領でした。
次に岸田首相が握手をします。
そして、岸田首相と尹大統領が握手をする際も、バイデン大統領は2人に握手するよう促すと、先に手を差し伸べたのは尹大統領でした。
記念撮影を終えた後には、バイデン大統領が岸田首相の肩に手を回し、そっと背中を押すようにしている姿も。
親密ぶりをアピールしているのでしょうか。
さらに共同記者会見では、3カ国の連携を強くアピールするためか、複数回にわたって「日米韓」「3カ国」などのワードが使用されました。
めざまし8が調べたところ、岸田首相が「日米韓」を15回、「3カ国」を8回、「我々3人」3回、「ジョー、尹大統領」を3回。
バイデン大統領は、「日韓米」」2回、「3カ国」7回、（尹）大統領、総理」2回、 「総理、（尹）大統領」1回、「韓国、日本」1回。
尹大統領は、「韓米日」18回、「3カ国」20回、「3首脳」6回。
共同会見後、バイデン大統領は岸田首相の肩に手を添え、今度は尹大統領の肩に触れる場面も。
フジテレビ解説委員 風間晋 氏：
3カ国会談首脳会談を一番やりたかったのはアメリカなんです。アメリカが対北朝鮮、あるいは、対中国に向き合うにあたって、日本と韓国仲良くやってくれ、一緒にやろうと、そういうのを具体的に決めたいし、テレビを見ている人たちにもそういうのを分かってもらいたい。そういう演出というか、あると思いますよ、心遣いというのが。
今後の日韓関係 それぞれの思惑
これまでも、日韓の関係強化に努めている尹大統領。
7月7日には、福島第一原発の処理水に関して「国際的な基準に合致する」と発表。その後、尹政権の支持率は今年最大の下げ幅の、6ポイントの下落をみせました。
しかし、ジャーナリストの岩田明子氏の取材によると、福島第一原発の処理水について外務省高官は、「尹大統領に理解は得られているはず」と話し、態度を急変させることはないのではと見ているといいます。
フジテレビ解説委員 風間晋 氏:
僕も変わらないと思うんですけども、でも変わらないためにも、来年4月には韓国は総選挙があるわけです。尹政権の与党というのは今、少数与党ですから。そこでできれば多数を取ってもらいたい。日本はそういう意味でも尹さんとの関係を発展されていくためにも、尹さんが困るようなことはしないという、そういう配慮は必要だし、できるのではないかなと。
(めざまし8 8月21日放送)
