岐阜・大垣市の「大垣サウナ」は、全国からファンが集まってくるサウナだ。はやりのサウナとは少し違うレトロな雰囲気で「岐阜最古のサウナ」として知られている。人気の秘密は水の都ならではの水風呂と、名物女将の存在だ。
自慢は「水の都」の地下水を使用した水風呂
「大垣サウナ」は岐阜・大垣市の大垣駅から、東へ1kmほどの住宅街にある。
創業は昭和41年（1966年）で、岐阜県で最初にできたサウナ施設だ。入泉料は1,700円。
店を切り盛りするのは、岡田昌子さん(80)。
岡田昌子さん：
ことし（2023年）、誕生日来ると81歳になります。今80歳です。おかげさんと年の割には元気なんです。みんなに言われる、元気やなあって
最近は炭酸風呂やジャグジーなど、さまざまな風呂が楽しめる「スーパー銭湯」が主流だが、「大垣サウナ」は2つの浴槽に…。
15人ほどが入れる「サウナ室」のみで、シンプルな作りだ。
館内の施設は2階にレストルームがあり、テレビも設定されている。
食事処もある。
昭和のノスタルジックな雰囲気が、そのまま残されている。
店一番の自慢は、水風呂だ。
岡田昌子さん：
地下水をかけ流しで使っています。飲んでも大丈夫な、おいしいお水です。大垣の水脈もいろいろあるんですけど、ここはとても恵まれた水脈で、感謝しています
大垣市は「水の都」として知られ、良質で豊富な地下水に恵まれている。この店では、地下水をくみ上げて水風呂に使っていて、温度は年間を通じて14度前後だ。かけ流しで、まろやかな肌触りで、飲むこともできる。
岡田昌子さん：
冷たいけども、刺すような冷たさじゃなくて入っていられるんです
全国から“サウナー”が集まる「聖地」
取材に訪れた日、開店前から既に客が並んでいた。県外からの客もいた。
男性客A：
京都から来ました
一緒に来た男性客B：
すごく水風呂が気持ちいいって聞きまして、来たいと思っていました、ずっと
男性客C：
千葉・柏市から参りました。やっぱり水がいいのと、お母さんとお会いしたいと思っていて。とにかく人がいいっていうお話は聞いています
午前11時。開店すると、客が次々とやって来た。
岡田昌子さん：
どちらから？
男性客D：
滋賀から
岡田昌子さん：
遠い所からどうもありがとうございます
男性客E：
自分は東京から来ました。きのう新幹線で2時間、名古屋に泊まって、今日1時間半くらいかけて車で
一緒に来た男性客F：
往復2万円以上はかかっていますね
週末は、遠方からの客も増えるが、もちろん古くからの地元の常連客も来る。
岡田昌子さん：
何十年と毎日来てもらっている。（開店の）11時ピッタリに来て、帰るのも5時ピッタリ。すごくきちょうめんなんです
常連の男性客G：
汗かいた後、水風呂入ると、ものすごく身が引き締まる、スッとする
常連の男性客H：
スタッフの方もいい人ばかりやし…
岡田昌子さん：
そこ力入れて言って！
気さくな人柄がお客さんを惹きつける“名物女将”だ。
高温サウナと地下水かけ流しの水風呂がサウナーを魅了
大垣サウナの楽しみ方は、まずサウナでたっぷり汗を流すことからだ。一般的なサウナよりも温度が高いという。
男性客I：
110度の高温で、発汗作用も結構あるので気持ちいいです
男性客J：
100度だったら僕「えっ」て感じだもん。きょうはいいなぁって感じ
サウナの温度は110度を超えているが、ここまでの高温のサウナは近隣のスーパー銭湯やサウナ施設でもなかなかないという。
十分に体を温めたところで、地下水をかけ流しで楽しめる、人気の「水風呂」だ。
男性客K：
サウナ入って、その後の水風呂が最高なんです。そこでザブンと入る時の気持ち良さを味わうために、今はガマン！
男性客L：
（水をかぶって）あ～、気持ちいい
男性客M：
水がいい、ここは
男性客N：
水の肌触りの感じがすごく気持ちいい、全然違います
男性客L：
難しいことはわからないですけど、本当にめちゃくちゃいい。ほかのところではない
「奇跡の水風呂」とも呼ばれるこの水風呂は、年間を通じて14度。
サウナ室との100度近い温度差が「ととのう」のに最適だと、全国のサウナーたちを魅了している。
サウナが還暦迎えるまで「とにかく頑張ろう」
大垣サウナは、昌子さんの夫・正国さんが昭和41年（1966年）に始めた。
当時は全国にサウナ施設がほとんどなく、地元客でにぎわったという。
特にこだわっているのが「清潔さ」だ。
岡田昌子さん：
皆さん裸になってもらうところやで、清潔が第一という人だったんで、掃除はかなり徹底してやっています。これ（イスにかけるタオル）も毎日クリーニングしてかけ直していますから
施設は古いが、清潔さはピカイチ。客用のタオルもオープン以来ずっとロッカーの上に置いているが、ほこりがたまりがちなロッカーの上まできちんと清掃が行き届いていることの証だ。
この清潔感が、リラックスして休める居心地の良さにつながっている。
夫の正国さんは12年前に他界し、昌子さんが後を継いだ。
岡田昌子さん：
3日もできないかと思っていましたけど、お客さんも「辞めたらいかん」言うて、力づけてくださるし。従業員もそのままやってくれているので。お水とお客さんと従業員に恵まれて、80歳になってもこんな風に仕事しとると思わなかった
ここ数年は空前のサウナブームで、大垣サウナは「聖地」とも呼ばれ、全国からファンが訪れる。
岡田昌子さん：
昔はもっと年配の方が多かったけど、最近は若い人がいっぱい来てくださるので、いつでも辞められると思っていたんだけど、なかなか辞められない
男性客O：
“いらっしゃいませ”というか、最近“おかえり”と言ってもらえるんですよね
男性客P：
すごくアットホームな感じで迎えてくださったのが心地良い。実家に帰って来たみたいな雰囲気
世代を超え、さまざまな人の“居場所”になっている大垣サウナ。名物女将が、きょうも優しい笑顔で客を迎えている。
岡田昌子さん：
孫のような若い子たちが、サウナを覚えてくれて楽しんでくれているなら、あと3年で還暦になるから、サウナが60年、それまでとにかく頑張ろう
（東海テレビ）
