欲しい物を選ぶとき、参考にする要素はなんだろうか。価格や性能だけではなく、今の若者は「現金化できるかどうか」も重視するという。

メルカリ総合研究所は7月、全国の男女18~69歳の1030人を対象に、Z世代に焦点を当てた「世代別の消費行動・資産認識」に関する調査を行った。
※Z世代(18〜24歳)、ミレニアル世代(28〜43歳)、バブル世代(54〜58歳)と定義し、世代ごとの傾向もまとめた。

Z世代は現金化しやすさで物を選ぶ

ここではどんなことがわかったのか。調査では“あなたが保有・利用しているモノは手軽に売買でき、現金化しやすいモノだと思うか”と質問し、7段階の選択肢から当てはまるものを選んでもらった。

(メルカリ総合研究所のリリースより)
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Z世代は「とてもそう思う」(5.8%)「そう思う」(17.5%)「ややそう思う」(28.2%)となり、肯定的な回答の合計は51.5%となった。しかし、他の世代だと「とてもそう思う」「そう思う」「ややそう思う」の合計は、ミレニアル世代が34.9%、バブル世代が18.6%で差がみられた。

(メルカリ総合研究所のリリースより)
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また、別の質問として“持ち物を売れば買えるという想定で、売る前に欲しいモノを買う経験があるか”と聞くと、「よくある」「たまにある」と答えたのは、Z世代が42.7%、ミレニアル世代が28.4%、バブル世代が15.4%だった。

所有物の売買について、考え方に違いがみられたのだ。

Z世代は“推し活関連商品”世代で買う物にも違い

では各世代はどんなものを購入しているのだろうか。

(メルカリ総合研究所のリリースより)
(メルカリ総合研究所のリリースより)

実際に“所有物を売ってから買う、売る前に欲しい物を購入することがある”とした人に、その際に購入した物を複数回答で選んでもらったところ、Z世代は「アパレル」と「推し活関連商品など」が、どちらも28.1%で最も多かった。また「アパレル」はどの世代でも1位だったが、ミレニアル世代では「書籍」(34.3%)、バブル世代は「日用品」(32.3%)も上位となった。

(メルカリ総合研究所のリリースより)
(メルカリ総合研究所のリリースより)

このほか、調査対象の全員に“資産として認識できる物”を複数回答で聞いたところ、Z世代は「暗号資産」「靴・スニーカー」「アクセサリー」などを、それ以外の世代は「時計」「車両」などを好む傾向にあった。ちなみに「金融資産」「ゴールド」「不動産」などは、世代を問わず人気があった。

こうしたところから、まとめでは、従来の消費者の購買行動の予算は「現金」が前提だったとしつつ、今は所有物も含めて資産と捉え、予算を決める消費者も少数ながら登場したとしている。

Z世代は持ち物が売れるかに関する予想ができている

興味深い結果だが、この変化はなぜ起きているのだろう。メルカリ総合研究所の担当者に聞いた。

――Z世代が現金化のしやすさを重視するのはなぜ?

Z世代はデジタルネイティブであり、フリマアプリネイティブなのだと思います。物心がついた頃にはスマートフォンがあり、フリマアプリの知識や使用方法に関するリテラシーも高いと考えられます。そのため持ち物を売ることに抵抗感がなく、これまでは“資産”として認識しづらかったものも、資産の一部と認識し、現金化しやすいと考えるのでしょう。

自分の所有物を売る前に欲しい物を購入する方が多いのも、こうしたリテラシーが高いことが理由と考えます。持っている物が売れるかどうか、いくらで売れるかに関する予想ができるから、売る前に買うことができるのだと思います。

査定や売却が簡単になったことが影響か(画像はイメージ)
査定や売却が簡単になったことが影響か(画像はイメージ)

――前の世代でこうした変化がなかったのはなぜ?

所有物の流動性が低かったためと考えられます。それが、フリマアプリやオンライン買取などの登場と普及により、売却が簡単で便利になり、結果として流動性が高まることで、資産として捉えられるようになったのではないでしょうか。

慣れ親しんだ消費行動も影響か

――持ち物を“売ってから買う、売る想定で売る前に買う”物に、世代で違いがあったのはなぜ?

各世代の所有する物、ライフステージ、慣れ親しんだ消費行動の違いによるものと考えます。将来的に売れるかどうか、資産として活用できるかの認識が違うのではないでしょうか。世代によっては「一度使えば値段がつかない」と考える方もいるかもしれません。

今回の調査だと、Z世代はゲームソフト・機器など、ミレニアル世代は書籍やアパレルなどを購入していました。これらは、従来から二次流通市場(ゲームショップや古本店など)があるものなので、売買できる物と認知されているのではないでしょうか。バブル世代は日用品などをよく購入していましたが、こちらは“家計の担い手”というライフステージの影響が考えられます。

コロナ禍での推し活の拡大も影響か(画像はイメージ)
コロナ禍での推し活の拡大も影響か(画像はイメージ)

――Z世代は推し活関連商品の購入も目立ったが、ここはどう思う?

「メルカリ」の利用傾向だと、コロナ禍前からエンタメ・ホビー関連の利用が伸びておりましたが、コロナ禍では推し活関連の取り引きが伸びる傾向がありました。家で過ごす時間が長くなり、興味がなかったものに興味を持つようになったのではないでしょうか。


――推し活関連商品が購入されることに、現金化のしやすさは関わっていそう?

こちらは検証していないので、個人的な推測ですが、アイドルグッズなどはもともとニーズが高い商品になります。自分の“推し”が変わったとしても、価値がなくなるのではなく、売れるものという意識があるのかもしれません。

合理的な消費行動をけん引している

――Z世代の考え方をどう受け止めている?

消費に関しても無駄な消費をなくして、自分の持ち物をうまく活用して、消費を楽しむ、いわゆる循環型消費がより増えていると思います。Z世代がよりスマートで、合理的な消費行動をけん引しているように見えます。


――今回の調査結果はどのように活用したい?

具体的な方針は決まっていませんが、所有している物の価値が簡単に分かるような機能の提供、より多くの年代に、不要品を売り買いすることを当たり前にするサービス体験を提供できるよう(「メルカリ」を)アップデートして行きたいと思います。



中古品の売買が身近となったことが、消費者の意識の変化につながっていそうだ。皆さんの周りにも売れるものが眠っているかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。