水俣病の原点とされる百間排水口で、老朽化した樋門(ひもん)を取り外す工事が始まった。外された樋門は今後、熊本県が保管し、現地保存に向けて患者団体などと協議する方針だ。

水俣病の原点老朽化進む 百間排水口

水俣病の原因企業であるチッソがメチル水銀を含む有毒な工場排水を流していた百間(ひゃっけん)排水口だ。

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施設を管理する水俣市は当初、老朽化などを理由に木製の4つの樋門を撤去する方針を示していたが、患者団体などが現地保存の重要性を訴えたことから方針を撤回。

熊本県も交え、患者団体などと協議を進め、修繕か新しく作り直した上で現地保存することを前提に、樋門をいったん取り外すことで合意していた。

そして8月16日に、水俣病の患者や支援者が見守る中、取り外しの工事が始まり、大型クレーンを使って長さ2m90cm、幅2m50cmの木製の樋門を慎重に取り外し、トラックに載せた。

工事では、比較的損傷の少ない2つが取り外され、損傷の激しい残り2つについては8月中に取り外したいとしている。

「憎い場所だが、伝えていく場所」

胎児性水俣病患者・松永幸一郎さん:
この場所は憎い場所でもあるんだけど、ちゃんと子どもたちに伝えていく場でもあり、ちゃんと今までのように保存していってほしい

取り外された樋門は水俣市にある熊本県環境センターで、熊本県が保管し、今後、修繕するか新しく作り直すなど、現地保存のあり方について患者団体などと協議する方針だ。

(テレビ熊本)

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