精米歩合が60%以下の吟醸酒の出荷量が東北の4割を占める、全国有数の酒どころ・山形。2023年5月に発表された全国新酒鑑評会で、金賞の受賞が最多となるなど盛り上がりを見せる県内で、貴重な一杯を飲み比べてきた。

吟醸酒の出荷量は東北の4割「吟醸王国山形」

北海道と東北・新潟のFNN各局が取材した「おすすめのプチぜいたく旅」で全国有数の酒どころ・山形の日本酒に注目。中でも、精米歩合が60%以下の吟醸酒の出荷量は東北の4割を占める「吟醸王国」だ。

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2023年5月に発表された新酒鑑評会の審査結果でも、山形の吟醸酒は全国トップの20点が金賞に輝いた。高い評価を受ける県内の日本酒。その理由を探っていく

やって来たのは山形・東根市にある酒蔵(しゅぞう)・六歌仙。

今回、「手間暇 大吟醸 雪女神」が金賞を受賞した。

「手間暇 大吟醸 雪女神」を試飲した感想を伝える菅原清かアナウンサー
「手間暇 大吟醸 雪女神」を試飲した感想を伝える菅原清かアナウンサー

菅原清かアナウンサー:
口に入れた瞬間に甘みが広がるが、スッと消えていくような爽やかな感じがします

六歌仙・松岡茂和社長:
甘みがスッと消える。これが雪女神の最大の特徴

「雪女神」は、県が開発した“吟醸専用”の酒米。透明感があり雑味のない酒に仕上がるのが特徴で、今回、金賞を受賞した県内の銘柄のうち半数が使用している。中でも「手間暇」は、大粒のものだけを使いより上品に仕上げた。

六歌仙・松岡茂和社長:
大吟醸の中でのおいしさをさらに引き立てる、そういううまみになっている

寝ずの番で管理していた「麹造り」を機械化

六歌仙は1972年に北村山地域にある5つの酒蔵が集まり創設された。現在は約50の銘柄を醸造し、酒蔵を無料で見学することもできる。

六歌仙・松岡茂和社長:
中央コントロールルームで、酒造りのもろみ・麹(こうじ)を管理している

六歌仙では、以前は杜氏が寝ずの番で管理していた麹造りを機械化。温度や湿度をデータ化することで、常に質のいい麹を作ることができるようになったという。

六歌仙・松岡茂和社長:
日本酒は微生物が作り出すもの。「人間はその環境を整える」というのがわれわれの持論。いい形で見守ってあげることで微生物が応えてくれる。そういったことでお酒ができていく

さらに、機械化によって時間に余裕も生まれた。「コメや水の処理」、「コメに麹を丁寧に振りかける作業」など“ヒトの手”でしかできない繊細な作業に力を注げるようになったことが、より“おいしさの追求”につながっている。

六歌仙・松岡茂和社長:
山形は大きな山々に囲まれていることもあって水質がそれぞれ違う。それぞれの個性を大事にした酒造り。自分たちの所で持って生まれたそれぞれの味を素直に作って客に届けていく

山形の自然を生かした酒蔵のこだわりが感じられるのも日本酒の魅力。

県内でも珍しい「角打ち」が楽しめるお店

続いて、山形市のJR山形駅から徒歩3分の金森酒店へ。

日本酒はもちろん、県産ワインや地ビールまで、常時500種類を取りそろえている。さらに…。

菅原清かアナウンサー:
この瓶に書いてある数字は何ですか?

金森酒店・金森千澄専務:
350とか250とか書いていますが、この数字が一杯の金額です

この店では県内でも珍しい「角打ち」ができる。購入した酒を店の一角で気軽に楽しむことができる。

おつまみはシンプルながら、主役の酒を引き立たせてくれるものがそろっている。

菅原清かアナウンサー:
おすすめは何ですか?

金森酒店・金森千澄専務:
今だと、新酒鑑評会で金賞を受賞した「純米大吟醸 東の麓 雪女神」などの酒

ほかのものと比べちょっと値は張るが、金賞を受賞した酒も手軽に味わえる。

「純米大吟醸 東の麓 雪女神」は、華やかな香りと上品で濃い甘みが特徴だ。

華やかな香りと上品で濃い甘みが特徴の「純米大吟醸 東の麓 雪女神」を試飲
華やかな香りと上品で濃い甘みが特徴の「純米大吟醸 東の麓 雪女神」を試飲

菅原清かアナウンサー:
甘みはしっかりとあるが、のどにスッと入っていく。すごく飲みやすい

そして、「米鶴 大吟醸 巨匠」は山田錦を使い、やや辛口でなめらかな味わい。このようにぜいたくな飲み比べができるのは「角打ち」ならでは。

金森酒店・金森千澄専務金森酒店・金森千澄専務:
県内には新酒鑑評会で金賞を受賞した酒がたくさんあるので、皆さんに楽しんでもらおうとたくさん取りそろえている。ぜひ、みなさんに飲んでほしい

みなさんも「吟醸王国山形」を訪れ、お気に入りの1本を見つけてみてはいかがだろう。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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