“給油するだけ”というガソリンスタンドの概念が変わろうとしている。暮らしに密着した、新たなサービスが盛りだくさんなのだ。

進化する「ガソリンスタンド」

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最新式の洗濯乾燥機などを備えたコインランドリー。
布団が丸洗いできる大型の洗濯機や、衣類を預けると洗濯してたたんでくれる代行サービスも行っている。

こちらのコインランドリー、実はガソリンスタンドの敷地内にあるのだ。

利用客からは「ガソリンスタンドに併設されているコインランドリーは見たことがない」という驚きの声も。

2022年12月、北海道恵庭市にオープンした総面積1500坪のガソリンスタンド「オカモトセルフ恵庭恵み野」。

コインランドリーだけではなく、全自動のドライブスルー式と、自分で操作するスプレー式の洗車機が合わせて9台分。

「いいんじゃない。車で給油しに来たついでに、洗濯をして乾燥機にかけたり、車を洗ったりできますね」(利用客)

さらに、電気自動車の急速充電器も完備。なぜ、ガソリンスタンドが給油以外のさまざまなサービスを展開しているのだろうか。

「車の低燃費化や電化などにより、ガソリンが今後廃れていくと思われるので、違う業種から収益を得ていく必要がある」(オカモト・八木橋大さん)

コインランドリーや洗車を利用すると、ガソリンを割り引きするサービスも行っていて相乗効果も期待している。

ガソリンスタンドの異業種参入…背景には?

このようなガソリンスタンドの異業種参入の背景を、全国各地のガソリンスタンドの情報をネットで発信している専門家に聞いた。

「ガソリンスタンドは全国的に減っている。最盛期と比べると半分以下になっています」(ゴーゴーラボ・宗像祐典さん)

全国のガソリンスタンドは、最盛期の1994年度には6万店を超えていた。しかし、最近は3万店を下回っている。減少する原因のひとつが…。

「地下タンクを交換するか廃業するか、選択を迫られた中で廃業するケースが多い」(ゴーゴーラボ・宗像祐典さん)

ガソリンを貯蔵する地下タンクは40年を経過すると改修義務がある。それには多額の費用が必要となる。

また、車の低燃費化や電気自動車の普及によりガソリンの需要が減少。リニューアルオープンしても、売り上げの増加が望めないというのだ。

「違う業態に参入しようという雰囲気は、年々強まってきていると感じます。カフェや猫カフェを併設したり、ストレッチをしたりしているところも」(ゴーゴーラボ・宗像祐典さん)

ガソリンスタンド×ユニークな●●

さまざまな業種とコラボしたガソリンスタンドが登場している。
北海道南部の七飯町では、ガソリンスタンドに、地元グルメを取り扱う自動販売機を設置しているところも。

「中川石油 セルフ赤松街道」では2023年4月、北海道南部のグルメを中心とした自動販売機を設置した。
函館市の焼き肉店で人気の「牛タン」や、長万部町名産の「かにめし」など28品がそろう。

「給油のついでに購入する人や、仕事帰りに買って帰る人も多い」(中川石油・中川弘規社長)

十勝地方の広尾町では、ガソリンスタンドで移動式サウナのレンタルができるようだ。「石山商店」では2023年3月から、軽自動車を改装したサウナのレンタルを始めた。

どこでも好きな場所でサウナを楽しむことができる。
「川原や海辺、キャンプ場などで利用できます」(石山商店・石山拓社長)

地元客だけではなく、町外からの観光客も取り込みたいというねらいだ。

ガソリンスタンドの今後は、どうなっていくのだろうか。
「客を次のビジネスにつなげることを、今のうちから準備しているガソリンスタンドが生き残るのでは」(ゴーゴーラボ・宗像祐典さん)

ガソリンスタンドを取り巻く環境が厳しい中、さまざまな模索が続いている。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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