北海道内で人気の「道の駅」が新たな戦略を打ち出した。隣接する場所にホテルが完成。
このホテルが"ただのホテル"ではない。世界に名の通った一流ホテルが、なぜか「道の駅」の隣に新たな施設をオープン。その狙いとは…。

アフターコロナ見据え…一流ホテルが"道の駅"とコラボ

その"一流ホテル"がオープンしたのは、2022年5月。場所は、「北海道と言えば…」と誰もが納得する観光地ではない、札幌近郊の恵庭市。
その施設を覗いてみると…

小出昌範 ディレクター:
部屋のつくりはシンプルになっています。カーテンを開けると、向こうには道の駅が望めます

ホテルにはレストランがない。部屋にはシャワーはあるが、浴槽は設置されておらず、いたってシンプルな作り。
道の駅とホテルが戦略的に手を組み描くのは、アフターコロナを見据えた、新しい観光のカタチだった。

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「シンプルな部屋」に新たな狙いが…"地元を生かす"戦略

恵庭市の道の駅「花ロードえにわ」の隣に完成したのは、「フェアフィールド・バイ・マリオット・北海道えにわ」。
恵庭市と住宅メーカーの積水ハウス、そしてアメリカのホテル大手、マリオット・インターナショナルが共同で計画した。

4階建てのホテルには、2人用の部屋が102室用意され、宿泊料金は1部屋1万4520円から。
部屋に浴槽を設置しなかった訳は、地元の温泉などをまわってもらいたいという戦略だった。

積水ハウス 前田清高さん:
道の駅の周辺は魅力的なところが多い。経由地ではなく目的地にするために、このプロジェクトを開始している

北海道の空の玄関・新千歳空港と、札幌市の間に位置する恵庭市はこれまで、「通過点」という扱いで、滞在して観光を楽しむという街ではなかった。
なんとかして、観光客を呼び込みたい。
「通過型」から「宿泊型」へ。ホテルにレストランがない理由も、道の駅や市内の飲食店で食事をしてもらおうというのが狙いだ。
ホテルから飲食店への移動には、片道だけだが無料のタクシーチケットが提供される。

観光案内に力を入れ、デジタルマップも作成。朝食は「地産地消」にこだわった。

小出昌範 ディレクター:
恵庭のホテルでは、地元で採れた野菜や豚肉が入った朝食が提供されます

宿泊者には、道の駅で人気のカレーを朝食として用意。5日前までに予約すると、2000円で恵庭のグルメが味わえる。

恵庭市 原田裕 市長:
(恵庭市は)新千歳空港から札幌へ通過する、立ち止まってくれない街だった。ホテルができると滞在型観光を目指せる。外国の人も泊まってもらって、恵庭を見ていただく、川を見ていただく。楽しんでいただける施設になってもらいたい

恵庭市の道の駅でホテルがオープンした同じ日、長沼町の道の駅「マオイの丘公園」の隣にも、同じくマリオットのホテルがオープン。

「通過型」の観光を代表する存在だった道の駅が、地元を知ってもらう「滞在型」の拠点として生まれ変わろうとしている。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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