カラフルな色合いから“海の宝石”とも言われている「ウミウシ」。巻貝の仲間で、貝殻がなく牛の角のような触角がある海の生き物だ。そのウミウシ探しをライフワークにしている富山市の男性に密着した。
海の宝石を探す「ウミウシ」ハンター
8月5日、海水浴客で賑わう氷見市の小境海岸で、素潜りの準備を進める男性がいた。

ーーきょうは見つけられそう?
百瀬一郎さん:
多分見つけられると思います
富山市の会社員・百瀬一郎さん(41)は7月から9月にかけ、仕事が休みの日は毎週のように海に通っている。5日は、素潜り仲間も一緒だった。

百瀬一郎さん:
頑張って探してみましょう。安全第一で
海に入ってすぐ、百瀬さんが何かを見つけたようだ。

百瀬一郎さん:
クロコソデウミウシ。毎年夏になるとブイの下に絶対についてくれるので、探しやすいウミウシ
そう、百瀬さんは人呼んで「ウミウシハンター」なのだ。潜って約30秒で、3種類のウミウシを見つけた。

百瀬一郎さん:
シロウミウシ、ウスイロウミウシ、リュウモンイロウミウシっていう3種類。何となく感覚。慣れてくると、よく「ウミウシに目が慣れる」とか言うんですけど、自然とウミウシを見つけるようになってくる

ウミウシは、浅い海の海底に生息する軟体動物の仲間で、種類が多く、色や形も様々で、そのカラフルさから「海の宝石」とも呼ばれている。
東京都出身の百瀬さんは、就職で富山に来たのをきっかけに素潜りを始め、15年前から県の内外の海でウミウシの写真を撮り続けている。これまでに見つけたウミウシは15年で109種類。そのうち富山湾では約45種類を見つけたという。

ーー富山湾はウミウシが多い?
百瀬一郎さん:
実際、百何十種類見つかってるらしいんで、できるだけ見つけたいなと

ーー目指すは?
百瀬一郎さん:
富山湾100は目指したい
こだわりの器材で見つけた“新たな発見”
記録を更新するため、器材にもこだわる。

撮影中に上半身が浮かないよう、自転車のタイヤチューブに鉛の砂を入れてテープで巻いた、自作のネックウエイト。さらに、一度見つけた小さなウミウシを見失わないよう、岩に目印をつけるクリップも手作りした。

素潜り仲間・坂林千聡さん:
めっちゃすごいと思う。素潜りで、息続くところで見つけられるところがすごい
休憩を挟みながら、何度も潜り続ける百瀬さん。初めて出会うウミウシを見つけた時は、水中で叫びたくなるほど感激するという。

2時間で14種類のウミウシを確認したこの日も、新たな発見があった。自身で初めて見つけた「ホンミノウミウシ」は、110種類目の確認となった。そして富山湾で初めて見た「イバラウミウシ」だ。

百瀬一郎さん:
ここにもいたんだっていうのと、新しいのはなかなか見つけられないのでうれしい
写真を通して“富山の自然の魅力”伝えたい
ウミウシに夢中な百瀬さんの生き物への関心は、陸の上でも同じだ。昼休みには職場近くの公園で虫を探す百瀬さんの姿があった。

素潜り仲間・中村仁さん:
いつも虫探ししてる。それをSNSにあげて、こんな虫がいたとか。本当に生き物が好きで仕方ない人

百瀬一郎さん:
公園の地面で、こんな感じ(カメラを地面につけるような体勢)で写真撮って、どう考えても変な人。自覚はしてるけど。身近な生き物が面白い色や構造や、面白い動きをすると伝えたい。ウミウシもそう。海水浴場からちょっと出たところに、色んなカラフルな生き物がいることを知ってほしい
富山の豊かな自然に魅せられた百瀬さんは、その感動を伝えようと富山の海に潜り続けている。
百瀬さんは、ロッククライミングや釣りなど多彩な趣味を持っていて、海も山も近い富山は最高の遊び場だと話していた。
また、ウミウシの写真はインスタグラムで発信して、富山の魅力を伝えている。
(富山テレビ)