世界最高峰のスケートボードツアー、ストリートリーグ(Street League Skateboarding、通称:SLS)。

8月12日に有明アリーナでアジア・日本初開催(2023 SLS CHAMPIONSHIP TOUR - TOKYO presented by Nikon)されるが、出場するトップスケーターの中にはスケボーによって人生を切り開いたスケーターたちがいる。

日本の堀米雄斗(24)もその一人だ。

わずか21歳でロサンゼルスにスケートパーク付きの4LDKの家を購入し、「アメリカン・ドリーム」を実現させ、最近では「YST」という日本のスケートボードシーンを世界レベルへ押し上げるためのプロジェクトを展開するなど、幅広い活動を行なっている。

トッププロは大会の賞金やスポンサー収入によって、年間数十億円を稼ぎ出すとも言われているスケボー界。

そんな夢のような競技で人生を一変させたスケーターを紹介する。

戦うのは自分自身!SLSで魅せる“自分超え”

世界中のスケーターの憧れの大会であり、2010年の開催以来、常にシーンのトップに君臨してきた世界最高峰のスケートボードコンテスト「ストリートリーグ」。

スケートボードの醍醐味といえば、東京オリンピックでも証明された、お互いの滑りを称賛する、たたえ合いの精神だ。

そして何より、これまでの自分を超え続けていくという点にある。

前回優勝のケルビン・ホフラー(C)SLS
前回優勝のケルビン・ホフラー(C)SLS
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特にトップスケーターとなると、とんでもない大きさのステア(階段)やハンドレールに自身の持つ最高難易度のトリックで挑み続ける。

そこにはもちろん、誰も味わったことのない恐怖や痛みが常に付きまとう。

このストリートリーグの舞台に立つ者たちは、そういった“自分超え”を誰よりも多く経験してきたヒーローである。

過酷な境遇を乗り越えていくスケーターたち

スケートボードによって救われた者や、過酷な環境から抜け出せたスケーターは世界を見ても少なくない。

クリス・ジョスリン(C)SLS
クリス・ジョスリン(C)SLS

今大会の出場者の中でも、アメリカのクリス・ジョスリンは父親とは会ったことがなく、母親は薬物依存症のためリハビリセンターで過ごしていたため、祖母に育てられた経歴を持つ。

ルアン・オリベイラ(C)SLS
ルアン・オリベイラ(C)SLS

ブラジルのルアン・オリベイラはファベーラと呼ばれるスラム街出身で、彼の人生を大きく変えたのがスケートボードだった。

同じくブラジルのフェリペ・グスタヴォは16歳の時、アメリカで毎年開催されている世界最高峰のアマチュアスケーターの大会、Tampa AM(タンパ・アマ)に出場するための資金を父親が車を売って捻出しており、見事その年の大会を制している。

フェリペ・グスタヴォ(左)とナイジャ・ヒューストン(右)(C)SLS
フェリペ・グスタヴォ(左)とナイジャ・ヒューストン(右)(C)SLS

ストリートリーグ24回の優勝と、6度の年間王者(スーパークラウン)に輝き、今なおコンテストシーンの最前線にいるアメリカのナイジャ・ヒューストン。

彼にいたっては、幼少期からその天才すぎるスケートボードキャリアと並んで有名なのが、厳格なラスタファリアンの父親に育てられたということ。これはスケートボード界ではあまりにも有名だ。

彼らは常にスケートボードで自分の人生を切り開いてきた。

スケートボードが彼らの人生を大きく変え、スケートボードが彼らの人生に光を与えた。

ストリートリーグは、スケートボードが持つ可能性を知り尽くしたスケーターらによる共演とも言える。

スケートボードのみならず、人生の自分超えをし続けてきた彼らのスケートボードには、無言の説得力があり、そんな彼らの滑りに人々は魅了される。

無限に転んだ先にある“最高のスタイル”

スケートボードは絶対に転ぶスポーツだ。

しかしスケートボードは絶対に立ち上がり続けるスポーツでもある。

彼らスケーターがなぜカッコいいのか?

彼らがおしゃれだからでもイケメンだからでもない。

それは彼らが挑戦し続けてきた姿が滑りに現れるからだ。

何千、何万回と転び続けて、何千、何万回と立ち上がり続け、終わりのない挑戦を続けた姿がスタイルとなって滑りに現れる。

だから彼らはカッコいい。

堀米雄斗(C)SLS
堀米雄斗(C)SLS

終わりのない挑戦を続けて得たトリックは見る者を感動させ、その滑りは人々の心に突き刺さる。

スケーターはみんな、終わりのない挑戦を続けていることを知っているからこそ、彼らはお互いをたたえ合う。

ストリートリーグで躍動する、彼らの“最高のスタイル”にも注目してみてほしい。

彼らの人生に大きな光を当てたスケートボード。そんなスケートボードのトップオブトップが集まる「ストリートリーグ」。

スケートボードを極めし者たちが8月12日、東京・有明で競演する。

誰が表彰台からの景色をものにするのか?歴史的瞬間がすぐそこまで来ている。

文:小嶋勝美 スケートボード放送作家

世界最高峰スケボーコンテスト「ストリートリーグ東京大会(2023 SLS CHAMPIONSHIP TOUR - TOKYO presented by Nikon)」
8月12日(土)開催

堀米雄斗、西矢椛、中山楓奈らが世界のトップスターと戦う!
https://www.streetleague.jp/