8月12日に有明アリーナで開催するスケートボードの世界ツアー「2023 SLS CHAMPIONSHIP TOUR - TOKYO presented by Nikon」。

アジア・日本初開催の記念すべき大会に東京五輪金メダリストの堀米雄斗(24)、西矢椛(15)らが出場し、世界のトップスケーターと激突。

中には“ある数字”であの大谷翔平を上回る人気選手も登場。日本の新たな“お家芸”として期待がかかるスケートボードの見どころを紹介していく。

SLSは世界最高峰のコンテスト

2010年にアメリカで始まったスケートボードの大会「ストリートリーグ」。

この大会はスケートボード界の人気、実力共に兼ね備えた世界のトッププロのみが出場することが許されている。

(C)SLS
(C)SLS
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世界最高峰のコンテストは、これまでアメリカのナイジャ・ヒューストンや、オーストラリアのシェーン・オニール、ブラジルのルアン・オリベイラなど多くのスーパースターを生み出してきた。完全招待制のため、まさしくオールスターだ。

このストリートリーグは、賞金額も世界最高峰で、前回のシカゴ大会で言えば賞金総額25万ドル、日本円で約3500万円。

そんなストリートリーグだが、長らく日本勢は出場することすら厳しかったため、日本人が表彰台に上がることは、スタートから数年間は夢のように思われていた。

SLSで堀米・西村が起こした革命

そこに登場したのが、日本の2大エース。堀米雄斗(24)と西村碧莉(22)だ。

まず堀米が2017年5月にバルセロナで行われたオープン戦に初出場するといきなり3位に。

翌月に開催されたミュンヘン大会では準優勝で続けて表彰台に上がると、2018年5月にロンドンで開催されたオープン戦では、日本人として初優勝の快挙を成し遂げる。

堀米雄斗(C)SLS
堀米雄斗(C)SLS

堀米のオリジナルトリックである、ノーリー(デッキ後方を弾いて飛び上がる技をオーリー、その逆にデッキ前方を弾いて飛び上がることをノーリーと言い、オーリーで飛ぶよりも難易度が上がる)からの多彩な技を武器に、ロンドン大会から怒濤(どとう)の3連勝を成し遂げると、一気に世界のトップスケーターの仲間入りを果たした。

オリジナルトリックがあれば、日本人でも世界のトップと戦えるということを証明したパイオニアがまさに堀米だった。

女子では2019年1月に行われたSLSワールドチャンピオンシップで西村が、当時絶対的な強さを誇っていたブラジルのレティシア・ブフォー二にわずか0.1点差で逆転勝利、見事日本人初の世界女王に輝いた。

まさにこの2017年頃からスケートボードの歴史上、類を見ない日本人スケーターたちの革命とも言うべき大躍進が始まった。

そのきっかけとなった堀米、西村の2人が地元東京で行われる、ストリートリーグ東京の舞台に凱旋する。

世界への扉を開けたオリジナルトリック

スケートボード界にはとんでもない最強の“怪物”が存在する。

アメリカのナイジャ・ヒューストン(28)だ。

ナイジャ・ヒューストン(C)SLS
ナイジャ・ヒューストン(C)SLS

15歳でストリートリーグ王者になると、その後は計24回の優勝と、6度の年間王者(スーパークラウン)に輝き、文句なしに“スケートボード界最強”の名を欲しいままにした。

そのスーパースターにオリジナルトリックで挑んだのが堀米や、白井空良(21)だ。

堀米は先述のノーリーからの多種多様なトリックを武器に。

白井は、アーリーウープという通常、空中で回転しやすい方向とは逆方向に回りながら、レッジやレールなどに乗って滑り降りる技を武器に、世界で戦う術を身につけた。

これを初めて大会で披露した際には、体操の白井健三が持つオリジナル技「シライ」のように、世界では「ソラグラインド」と呼ばれ、世界中のスケーターの注目を集めた。

こういった彼らが世界への扉を開けたオリジナルトリックにも注目してほしい。

トップを追うように次々と現れる新星

近年のスケボーシーンを大きく変えている要素の1つが、爆発的なまでのスキルの向上だ。

特に女子選手に関しては10年前のトップシーンと比べると、年齢は低年齢化が進み、行う技も以前は女子がハンドレールに入るだけでも驚きだった。

それが今では、さらにデッキを回転させて滑り降りるなどの、複雑な技を決めるようになった。

例えば、11歳にしてストリートリーグ優勝を成し遂げた、ブラジルのライッサ・レアウ(15)。

ライッサ・レアウ(C)SLS
ライッサ・レアウ(C)SLS

彼女は人気実力共に世界のトップを走っており、インスタグラムのフォロワー数は630万人以上(8月4日時点)。

野球の大谷翔平が約580万人(8月4日時点)ということから、彼女の人気の高さは桁違いだ。

そして、東京オリンピックで金メダルを獲得した西矢椛(15)、銅メダルの中山楓奈(18)。

クロエ・コベル(C)SLS
クロエ・コベル(C)SLS

この中心人物たちに引っ張られるように現れたのが、オーストラリアの新星、13歳のクロエ・コベルや、6月にロサンゼルスで行われたセレクトシリーズ(SLS予選大会)を勝ち抜き、今大会の出場を勝ち取った14歳の赤間凛音(りず)。

彼女は同じく6月に行われたパリオリンピック予選ローマ大会で、見事に優勝を飾っている。

次々と様変わりしていく様子はまさにスケートボードの大革命であり、その革命の受け皿としてシーンの頂点に立ち続けるコンテストが、このストリートリーグなのだ。

文:小嶋勝美 スケートボード放送作家

世界最高峰スケボーコンテスト「ストリートリーグ東京大会(2023 SLS CHAMPIONSHIP TOUR - TOKYO presented by Nikon)」
8月12日(土)開催

堀米雄斗、西矢椛、中山楓奈らが世界のトップスターと戦う!
https://www.streetleague.jp/