熊本市と慈恵病院による、内密出産などで生まれた子どもの出自を知る権利をどのように守るのかの2回目の検討会が開かれた。検討会では海外の事例が紹介され、出自を知る権利をめぐる日本の課題が見えてきた。

“出自を知る権利”先進国の取り組み学ぶ

8月2日に開かれた会合では、フランス、ドイツ、韓国の取り組みについて研究している委員が、それぞれ各国の現状を紹介した。

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千葉経済大学短期大学部教授の柏木恭典委員は「ドイツでは2014年に内密出産が法制化されているが、女性が匿名で産む権利と生まれてくる子どもにとっての出自を知る権利が対立している」と報告。

千葉経済大学短期大学部教授・柏木恭典委員
千葉経済大学短期大学部教授・柏木恭典委員

出自情報の管理について、日本も締約国となっている子どもをめぐる国際間合意“ハーグ条約”を取り上げ、「(ハーグ条約では)行政は責任を負う立場になっていて、本来は身元情報は締約国の当局(行政)が行うということになる。日本は内密出産は否定しないが、(出自情報の管理はせず)責任を放棄していると私は思っていて、きちんとやってほしい」と述べた。

フランス子ども家庭福祉研究者・安發明子委員
フランス子ども家庭福祉研究者・安發明子委員

また、フランスの子ども家庭福祉を研究する安發明子委員は、フランスで法制化されている匿名で出産できる制度を説明。

目白大学教授・姜恩和委員
目白大学教授・姜恩和委員

目白大学教授の姜恩和委員は、韓国には内密出産はないものの、ドイツの内密出産を参考にした保護出産法の議論が現在活発に行われていると紹介。韓国でも、出自情報は国の機関が保管する方針ということだ。

慈恵病院理事長・蓮田健委員
慈恵病院理事長・蓮田健委員

慈恵病院理事長・蓮田健委員:
フランス、ドイツ、韓国は孤立女性への支援が日本に比べると行き届いているということを学びました。だからそういう(日本の)環境を変えないといけない

元文京学院大学教授・森和子座長
元文京学院大学教授・森和子座長

元文京学院大学教授・森和子座長:
人にとって情報は大事な一部。(出自情報は)病院とか児相というような分散した形でなく、一元化して保存可能なシステムができるといい

次回の開催は10月で、特別養子縁組のあっせん団体からヒアリングを行う予定だ。

(テレビ熊本)

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