違法薬物問題で日本大学アメリカンフットボール部の寮に家宅捜索が入った。寮からは大麻だけでなく覚醒剤成分入りの錠剤も見つかり、名門大学が薬物汚染疑惑に揺れている。

植物片は「大麻」、錠剤から「覚醒剤成分」検出
8月3日午後1時過ぎ、物々しい雰囲気に包まれた、東京・中野区にある日本大学アメリカンフットボール部の学生寮。警視庁の捜査員による家宅捜索が電撃的に行われた。容疑は大麻取締法違反と覚醒剤取締法違反だ。

直前には大学の競技スポーツ担当の副学長らが寮に入っていて、捜査に立ち会ったとみられる。

捜査関係者によると、7月上旬に大学側が寮の内部から植物片と錠剤を発見し、それらを7月19日頃に警視庁が押収し鑑定を進めていた。その結果、植物片は大麻と判明、さらに錠剤からは覚醒剤の成分が検出されたのだ。
日本大学の林真理子理事長は2日、「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と話していた。

しかし、3日朝、FNNの単独インタビューに応じた際には一転し、「昨日、私が『一切ない』って言ったのは、不法な薬物が今のところ見つかっていないっていう意味でございます」と述べた。

寮で大麻が見つかったこと、また覚醒剤成分を含む錠剤もあったことがわかったのは、このインタビューの数時間後のことだった。
「日大ブランド」回復させようとしていた矢先に…
「フェニックス」の愛称で知られる日大アメフト部は、大学日本一を決める甲子園ボウルで、歴代2位の優勝21回を誇る強豪チームだ。
2017年に大学日本一を決めた時の写真では、勝ち取ったトロフィーをはじけるような笑顔で空に掲げていた。ところが翌年、その栄光に大きな傷をつける出来事が起きた。日大アメフト部のメンバーが相手チームの選手に全治3週間のけがをさせた、いわゆる“危険タックル問題”だ。

当時の田中英寿理事長は、取材に一言も発せず物議を醸した。その後、田中元理事長は脱税事件で有罪判決を受けたが、会見など公の場での説明は最後までなされなかった。

その田中体制を決別した日大では、2022年、林真理子理事長を含め9人の女性理事が就任。改革を進め、失墜した日大ブランドを回復させようとしていた矢先に浮上したのが、今回の薬物問題だ。
薬物に詳しい、元埼玉県警で法科学研究センター所長の雨宮正欣さんは、学生寮から大麻だけでなく覚醒剤成分入りの錠剤が見つかったことについて「少なくとも大麻に飽きたらずに覚醒剤に手を出したという表現が、まさにぴったりだと思います」と話す。

そして、「寮生活で24時間寝食を共にしている。誰か1人が気軽な気持ちで始めて、お前もやるかって言った時に断りきれないような環境。広まってるというか、薬物を使うことに対しての抵抗感が薄れてるってことが事実なんですよ。これはね、非常に危険なことです」と指摘した。
今回の報道を受け、日大の現役学生からは「今後、就活とかで日本大学って名乗っただけでマイナスなイメージを持たれるかもしれない。全然関係ないのに……」「非常に残念。他の部やサークルでもないように、未然に防止していくのが求められる」といった声があがった。

世間の注目を再び集めることになった大学スポーツ界屈指の伝統校。
林理事長は違法薬物が確認された場合は、会見を開いて対応すると明言している。3日の捜索を受け、日本大学は「警察の捜査には全面的に協力いたします」とコメントしている。
(「イット!」8月3日放送より)