東京農業大学の10代のボクシング部員2人が大麻を所持していた疑いで逮捕されたのに続き、日大アメフト部の施設でも、大麻に関する情報が寄せられ、大学側が警視庁に相談していることがわかった。日大については逮捕者が出ている訳では無いが、若者への大麻の蔓延が深刻化しているようにみえる。

警察庁の「令和4年における組織犯罪の情勢」によると、2022年に全国で大麻を持っていたとして逮捕された人は5342人。うち20代の若者以下が3765人に上り、全体の7割超を占めている。
特に20歳未満は2018年の429人から倍増し、912人に上っている。そのうち高校生は150人、中学生は11人となっている。大麻に手を染める人が、いかに低年齢化してきているかがわかるだろう。
これに対して、覚醒剤は検挙された人のうち40代以上が6割以上(64%)を占めるので、対照的だ。その理由は末端価格の違いにある。大麻は1グラム6000円前後なのに対し、覚醒剤はその10倍以上と言われる。大麻は子供のお小遣いでも買える値段であり、スマホで検索すれば入手可能な場合もあるという。

アメリカなど海外で大麻の合法化、非犯罪化が進んでいることも若者に蔓延する一因と言える。日本の若者が留学などの際に、現地で安易に手に入る大麻を経験したのをきっかけに、常習化してしまうケースも多いからだ。
去年10月から11月までに全国で大麻を持っていたとして検挙された911人についてまとめた警察庁の統計では、初めて大麻を経験した年齢について52.1%が20歳未満と回答している。33%が20代で、85%以上が30歳になるまでに大麻を経験したと答えている。
そのきっかけについては「好奇心・興味本位」と答えた人が59.6%、「その場の雰囲気」「クラブ・音楽イベントの高揚感」「パーティー感覚」と答えた人は24.8%で、実に84%が明確な目的ではなく安易な気持ちで大麻に手を染めてしまっていることがわかる。

またこれらの人に大麻の危険性について問うと、「全くない あまりない」と答えた人がおよそ8割に上ったというから驚きだ。
大麻の再犯率は覚醒剤に比べ低いとは言え、逮捕された人の4人に1人は再び大麻に手を染め検挙されているという実情もあり、依存性が明確にあると言われている。
大麻が危険な違法薬物であり、たった1回でも自分の人生を壊してしまうというという共通認識を社会が持ち、薬物を使わせない環境づくりが必要だ。
(フジテレビ解説委員・上法玄)