自転車利用者のヘルメット着用が全年齢で努力義務化されてから4カ月。メーカーの生産が追い付かず品薄になっている販売店や、利用者に持参を求めるシェアサイクルも登場。ヘルメットの重要性と課題について考える。
自転車事故死の6割が頭部損傷
JAF(日本自動車連盟)は、自転車に乗って転倒した際の頭部へのダメージを調べた実験を行った。頭部への衝撃を数値化した「HIC」は、ヘルメットを付けた状態と付けていない状態では約3倍の差が見られた。

熊本県警によると、自転車事故で死亡した人の全国の直近5年間の統計データでは、頭部への損傷が致命傷となったケースが約6割を占めているという。

熊本県内では、2022年の1年間で511件の自転車事故が発生。そのうち死者は4人で、熊本県警はヘルメットの着用を呼びかけている。

熊本県警交通企画課交通事故防止総合対策室・吉良洋平室長補佐:
(ヘルメットは)頭部が守られるので、被害の軽減効果は大きい。自転車のヘルメットは自分の身を守るため、そしてヘルメットをかぶることで「交通ルールを守ろう」という意識を高めることにもつながるので、ぜひ皆さんにヘルメットの着用をお願いしたい
努力義務化でメーカーの生産追い付かず
4月にヘルメットの着用が全ての年齢で努力義務となり、自転車販売店では、ある変化が起きていた。

サイクルベースあさひ北熊本店・田口真也店長:
4月度に関しては、通常よりかなり売り上げが高くなっていて、特に大人用のヘルメットに関しては、前年比200%くらいの販売数量となっている。(通常なら)棚の部分は全て埋まっていて、お客さまに色々なヘルメットを選んでいただけるような状態だが、メーカーも生産が追い付いてない状態で、かなり少なくなっている。初めての経験
気になるのが、正しいヘルメットのかぶり方だ。

サイクルベースあさひ北熊本店・田口真也店長:
かぶって、ヘルメットの横のラインが前を向くように帽子を深くかぶるイメージ。あごひもの隙間がだいたい指1~2本入るくらい
ヘルメットの持参を求めるシェアサイクルも
シェアサイクルサービス「チャリチャリ」は、運営する「neuet」とプロバスケットボールチーム「熊本ヴォルターズ」、JR九州の三者が連携協定を結び、熊本県立総合体育館など各地でポートが設置されていて、人気を集めている。

埼玉県からの観光客:
観光で来ていて、熊本城周辺を回りたいのですが、あまり時間がないので、チャリチャリを見つけて、これで行こうかなと
チャリチャリの運営会社は、利用者にヘルメットの持参を求めている。

neuet・下田結賀子さん:
アプリ内での啓発・発信を行ったり、駐輪ポートにポスターを掲示したりして、ヘルメット着用推奨の啓発を行っている。人の頭のサイズはそれぞれ違っていて、合わないサイズのヘルメットを着用することは危険だったり、使用後の消毒が難しいなど安全面と衛生面の課題が多いので、(ヘルメットの)備え付けは予定していない。持参して使用していただく
高校生たちも着用率アップ目指す
一方、自転車に乗る機会の多い高校生に対しての取り組みも進んでいる。
熊本市は7月、真和高校を初の「自転車安全利用モデル校」に認定した。高校生たちが交通ルールのマナー向上やヘルメットの着用率アップを目指す。

真和高校2年・矢野碧琉さん:
友達と話していても、「ヘルメットをかぶると髪形が崩れる」という話を多く聞くが、ヘルメット一つで自分の命が守れるなら、進んで着用しようと思う

自転車利用者のヘルメット着用が全ての年齢で努力義務化されて、8月1日で4カ月。自らの命を守るためにも、普段からヘルメットの着用を習慣づけることが必要だ。
(テレビ熊本)