大分県大分市の中心部にあったジュンク堂書店大分店が7月31日閉店した。多くの人に愛されてきた県内有数の規模を誇る大型書店。売り場の隅にあった閉店を知らせるポスターには1枚のメッセージが。文化の拠点として地域を支えた書店、その最後の1日を取材した。

最後の1日に惜しむ声続々

幅広い世代に愛されてきたジュンク堂書店大分店。5つのフロアで合わせて約400坪あり、県内有数の規模を誇る。商業ビルとの契約が満了することに伴い7月31日で閉店することが発表されていた。

最終日には「品揃えが多くて、すごく好きだったのでショック」などと閉店を惜しむ声が聞かれた。

ジュンク堂書店大分店
ジュンク堂書店大分店
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店を訪れていた70代の夫婦は、
「お別れの挨拶という意味を込めて行ってあげようかと、きょう来た。読書好きとしてはジュンク堂には頑張ってほしかった」と話す。

九州第1号店としてオープン

ジュンク堂が大分の地で開店したのは1995年。当時、大分市の「大分フォーラス」に九州第1号店としてオープン。専門書などを含めると約40万冊の在庫を誇っていた。

ジュンク堂書店大分店(1995年)
ジュンク堂書店大分店(1995年)

その後、2017年にビルの建て替えに伴い現在の場所に移転。長年、文化の拠点として地域を支えてきた。

九州第1号店であることについて、大分店の千綾加奈子店長は、
「東京の池袋本店よりも早い。大分より古い店が結構閉店してしまって少なくなりましたね」と話す。

ジュンク堂書店大分店 千綾加奈子店長
ジュンク堂書店大分店 千綾加奈子店長

電子書籍の普及もあり減る書店…

インターネットや電子書籍の普及もあり全国的に書店は減っている。日本出版インフラセンターによると、20年前は約2万店あったが、この20年で半数近くまで減った。

全国の書店数(日本出版インフラセンター調べ)
全国の書店数(日本出版インフラセンター調べ)

大分県内でも書店は10年前158店あったが、6月時点で112店と約7割にまで落ち込んでいる。

22年間大分店で勤務したという店長は、
「参考書を買っていた人が子供を連れてきたりとか、そういう長い時間だと思うが、その中で書店を取り巻く状況はいろいろ変わっているけど、同じジュンク堂書店としてずっと通ってくださった方が多くいることがとてもありがたい」と話す。

売り場の隅に一枚のメッセージが

閉店を知らせるポスター
閉店を知らせるポスター

売り場の隅にあった閉店を知らせるポスター。そこには名も知らぬ客からの一枚のメッセージが添えられていた。最終日の慌ただしい中、メッセージが貼られていることに店員が気付いたということだ。

「28年もの間、本当にありがとうございました。私は物心ついたころからジュンク堂に通い文化的教養を学びました。大分でこれだけの書籍と出会えるのはここだけです。必ず帰ってきてくださると信じています。ふたたびたくさんの書籍、そしてみなさまと再会できる日を楽しみにしています」

ポスターに添えられていたメッセージ
ポスターに添えられていたメッセージ

多くのお客さんに愛された大型書店。本来、閉店は午後8時の予定だったが、店内には会計待ちの長蛇の列ができていて最終的に30分遅れの午後8時半、その歴史に幕を閉じた。

(テレビ大分)