ハンセン病元患者の男性が、隔離先の特別法廷で裁かれ死刑となった、いわゆる「菊池事件」の再審請求をめぐり新たな動きだ。
弁護団は7月19日に、男性が有罪となった根拠の一つとされる親族の供述が「信用できない」とする鑑定書を新証拠として熊本地裁に提出した。
弁護団が熊本地裁に“新証拠”提出
菊池事件は、殺人などの罪に問われたハンセン病元患者の男性が、公開の法廷ではなく、菊池恵楓園や収容先の旧菊池医療刑務支所に設置された「特別法廷」で裁かれ、死刑となった事件。

男性の遺族は2021年4月、熊本地裁に裁判のやり直し、いわゆる「再審」を請求した。

弁護団によると、この事件では「男性から『被害者を殺した』と打ち明けられた」とする親族2人の供述が、有罪の根拠の一つとされている。
親族の供述「信用できない」
しかし、弁護団は7月19日にこの親族の供述が“信用できない”とする専門家の鑑定書を熊本地裁に提出した。

鑑定書では犯行を打ち明けられた親族の凶器についての目撃証言が、当初「ドス」と表現していたものが、「刃物だったように思う」から「はっきりしない」と変遷していると説明。

鑑定書では「犯行の告白という衝撃的な場面は記憶として残るのが自然で、凶器についての供述が変遷しているのは明らかに不可解」と指摘している。
(テレビ熊本)