排水能力を上回る強雨が降ることで、道路や住宅が浸水する被害が増加している。膝より上で歩行困難に。水没した車の修理代は、車両保険でおりる金額を上回る場合もあるという。大切な車・財産を守るということからも、冠水した道路には入らないことが大切。
道路冠水が相次ぐ
2023年7月、秋田県を襲った記録的な大雨。観測史上最多の雨が降り、各地で道路の冠水が相次いだ。そこで、多くの被害が出たのが「車の水没」 秋田県では、JAFに寄せられた救援要請が500件以上あったという。同じく7月に、10分間に25.5ミリと、短時間に観測史上最大の雨が降った福島県会津若松市でも、冠水した道路を走行する車が多く見られた。エンジンが浸水すると、車が停まってしまう恐れがあるという。
床面を超えたら危険
冠水した道路で、水の深さが車の床面を超えたら危険だ。エンジンは、吸気口やマフラーから浸水し、停止するおそれがある。また、自動スライドドアやパワーアップウインドウは、電気装置の損傷で動作しなくなるおそれが。ドアを開けるにも水深がドアの下の端まできただけで困難になり、ドアの半分以上になると開閉がほぼ不可能になる恐れがある。
脱出用ハンマーの常備を
水没した車両から脱出するため、必須になるのが脱出用ハンマー。ヘッドレストや傘などで窓は割れないため、車に常備することが大切になる。フロントガラスは割ることが困難なので、ご注意を。
水没は車両保険の対象に
水没した車は車両保険の対象になるのか？ソニー損保に聞くと、「洪水の場合」と行けるだろうと思って「冠水した道路に進入して水没した場合」どちらも保険はおりるそう。スーパーの駐車場で水没、機械式の駐車場ごと水没、いずれも適用になるという。
修理代がいくらかかるか不明
福島県福島市で自動車の整備などを行っている、ブロスコーポレーション齋藤学さんは、水没した車は「いくらかかるかわからないですよ？」と確認してからじゃないと修理は難しいと話す。「損傷した場所がわからないので、すべてをきれいにすると相当な金額がかかることもある」という。その場合、車両保険でおりた金額も超える可能性は大いにあるということ。さらに修理して乾燥させた後も、機械に砂が入ってしまっている場合があり、どこかの機器の誤作動で、再び故障することが多々あるそう。そもそも、エンジンがかからなくて廃車になるケースが多いという。
歩くのも危険
原則、冠水した場所には車も人も入らないことが重要だが、歩行が困難になる水深の目安があるという。ひざ下では、歩行が困難な割合は50％を超える。さらに、ひざから腰くらいになると80％を超え、腰よりも高くなると、ほぼ歩くのは困難になる。ただこれは、あくまでも目安で流れの速さなどによって状況は異なる。
避難時の注意点
浸水が始まり、危険な場合は2階以上に避難する「垂直避難」という選択肢もあるが、どうしても浸水したところを歩かなくてはいけない場合は、万が一に備え救助の際に目立つような色の服装で。荷物は、両手が使えるようリュックサックに入れる。これはいざという時に浮き具にもなる。さらに長靴ではなくスニーカーで、地面の状況を確認するため傘や杖を持つとよい。1人ではなく2人以上で行動をすることが望ましい。
情報を理解する
よく天気予報で「1時間に〇ミリの雨」と聞くが、いったいどの程度の雨なのか理解することも重要。
「20ミリ」土砂降りレベルで、傘を差していてもずぶ濡れになる強さ
「30ミリ」低い土地が浸水するレベルで、アンダーパスが冠水するなどの影響
「40ミリ」水路が危険なレベルで、用水路が増水
「50ミリ」大規模冠水のレベルで、地下の浸水や床下浸水の被害
「100ミリ」浸水・土砂災害レベルで、河川の氾濫や床上浸水の被害
いまや「身近な災害」となった浸水害。「行けるだろう」が後々、大きな被害につながることがある。浸水が始まる前の避難、そして冠水した道路には入らないことが重要だ。
（福島テレビ）
