2022年10月、女子大学生を殺害したなどの罪に問われている男の初公判が8月31日に行われた。

男は被害者から殺害を依頼されていたという。命の悩みに向き合う現場を取材した。

「私はね、あなたのお話の仕方や気持ちの整理の仕方を想像して、あなたならできると感じています」(北海道いのちの電話 相談員)

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悩みを抱える人の相談に乗る「北海道いのちの電話」。

年間約1万5000件の悩みと向き合っている。

”自ら命を絶とうとする人を救いたい”

女子大学生に依頼され殺害 2人の接点はSNS

そんな活動に立ちはだかるような事件が明るみに出たのは、2022年10月のことだった。

札幌市東区のアパートで、小樽市に住む当時22歳の女子大学生の遺体が見つかった事件。

逮捕されたのはアパートの住人で、当時53歳の無職・小野勇被告。

住む場所も、年齢も離れた2人の接点はSNSだった。

女子大学生が死を望む投稿をしたことに小野被告が反応したとみられ、嘱託殺人などの罪で起訴。

8月31日に初公判を迎えた。

SNSには「死にたい、死にたい」とか、「めんどくさい人間になってる気がする、死にたいよ」といった死を望む投稿があふれる。

若者は悩みとどう向き合っているのだろうか?

「SNSに投稿したら自分の状況を把握してもらえる」(20代 女性)

「SNSやチャットで相談するのが苦手なタイプで、電話などで話す方が自分の思いやニュアンスが伝えられる。話せる場所があるというのも大事かなと思う」(20代 女性)

「命を救いたい」悩みと向き合う電話

悩める命を救いたいと、24時間365日、電話を頼りに活動を続けている人たちがいる。

「『北海道いのちの電話』です。おはようございます。はい、どうしました?」(北海道いのちの電話 相談員)

悩みを抱える人の声を40年以上聞き続けてきた「北海道いのちの電話」。

約180人の相談員はすべてボランティアだ。

「私はね、あなたのお話の仕方や気持ちの整理の仕方を想像して、あなたならできると感じています。きのうのことだから きょうすぐ忘れることはできないかもしれない。つらい日々も過ごすかもしれない。いろんなことで我慢したり頑張ったりしてるうちに、また気持ちっていろんなことが湧いてくるじゃない。そんなときは『いのちの電話』でよければ、使ってくださればいいのよ」(北海道いのちの電話 相談員)

悩みを抱えた若者の支えになりたいと思うが、若い世代の相談は決して多くない。

「相談電話約1万5000件のうち、10代は300件もなく全体の約2%。20代でもさほど多くなく1000件前後。生の声のやりとりができる電話もあることを、何とか伝えたい」(北海道いのちの電話 杉本 明 事務局長)

20代以下の相談は全体の1割程度。

しかし、SNS全盛の時代でも、肉声を介しての相談には意義があると信じて活動を続けている。

「北海道内の中学校や高校に出向いて、『いのちの電話』があるという出前授業を始めている。人の温かさを伝えられるし、感じられるのではないか」(北海道いのちの電話 杉本 明 事務局長)

嘱託殺人事件初公判 小野被告に相談した女性が語る

8月31日に初公判を迎えた嘱託殺人事件。

被害者の女子大学生は何に悩み、どんな会話を小野被告と交わしたのだろうか。小野被告に悩みを相談したことのある女性は

「『殺してあげるよ』ではくて、『大丈夫? 話を聞くよ』と助けてあげる方向に動いてほしかった。どうしてそうなったのか、何も隠さず素直に全て話してほしい」(小野被告の知人)

悩める命を救わず、なぜ頼まれるままに殺害に及んだのか。

その心の闇は公判で明らかになるのだろうか。

悩みを抱えたら
【北海道いのちの電話】 011-231-4343                                                           札幌市若年女性支援事業LiNK
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北海道文化放送
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