熊本地震の経験を語り継ぐ体験展示施設「KIOKU」が7月15日、南阿蘇村にオープンした。テレビ熊本・西村勇気アナウンサーが現地から施設の特徴について伝える。
震災ミュージアムの中核施設「KIOKU」
7月14日、西村アナウンサーが訪れたのは、完成したばかりの熊本地震の震災ミュージアムの拠点施設「KIOKU」だ。

周りには熊本地震を象徴する場所の一つとも言える、南阿蘇村立野の斜面が大崩落した現場がある。

西村勇気アナウンサー:
この場所なんですけれども、東海大学の旧阿蘇キャンパスの敷地内にあるんです。星形の建物が阿蘇キャンパスの旧1号館ですね。そして「KIOKU」のある場所というのは、キャンパスの運動場だったところなんです
KIOKUは、陸上部のトラックなどがあった場所に建てられている。

柱や梁には熊本県産材が使われ、天井のタイルにも阿蘇からとられた土が釉薬(ゆうやく)として使われているという。
地震の記憶を物語る時計や自動車も

KIOKUの展示室の中に入ると、最初に目につくのが旧東海大学阿蘇キャンパスの体育館の外壁についていた時計だ。2016年4月16日、本震の1時25分、あの時から時が止まっている。

そして、崩落した阿蘇大橋のめちゃくちゃになってしまった看板もあった。

展示室には、国道57号線側から臨んだ現在の阿蘇大橋の写真も展示されている。崩落した阿蘇大橋は震災遺構として残されていて、熊本地震の記憶を物語っている。

そして、この展示室で一番大きな展示が被災した自動車だ。
西村勇気アナウンサー:
まさに地震の被害の記憶です。車内には当時の新聞か雑誌が残っています。この車は、ここから直線距離で700メートルぐらいにある高野台団地で土砂災害に襲われたところを発見されました
展示されているこの車には人は乗っておらず、人的被害がなかったため、ここに展示されているという。
蒲島知事「自然と防災学ぶ拠点へ」
震災ミュージアムの拠点施設「KIOKU」の名称は、554の公募の中から選ばれ、「震災の記憶を受け継いでほしい」という願いが込められている。

熊本地震から7月14日で7年3カ月。14日は完成式典が開かれ、県関係者などを約70人が出席し、熊本地震の犠牲者に哀悼の意を込めて黙祷が捧げられた。

その後、蒲島熊本県知事が「震災ミュージアムKIOKUが、自然と防災を学ぶ拠点として定着していくことを心から祈念します」と式辞を述べた。
そして、参加者の代表がテープカットを行い、震災ミュージアムの中核施設が完成したことを祝った。
「全国から来てもらい防災に役立てて」
西村勇気アナウンサー:
熊本県内の断層を学べるコーナーには立体模型があります。熊本地震のときに大きく動いたと言われる布田川断層帯、そしてこれから動く可能性があるとも言われている日奈久断層帯、こういった知識を学ぶことができるんです

KIOKUでは、断層などの地震のメカニズムについても学ぶことができ、式典が開かれた7月14日の午後には、地元の住民限定の内覧会も行われた。
内覧会に参加し、当時は東海大学の学生たちに下宿先を提供していた竹原伊都子さんに話を聞いた。

下宿「新栄荘」・竹原伊都子さん:
素晴らしい施設ができたなと思いました。私たちがここに住んでいても、全く今まで知らなかったものも展示してあって、布田川断層帯の剥ぎ取り模型とかを見ても、こんなものができたと知れた

竹原さんは、「もっと修学旅行や全国からいろんな人に来てもらい、この施設を見て勉強してもらいたい」と話す。
下宿「新栄荘」・竹原伊都子さん:
将来やっぱり何かしら災害に対しての意識が強まったりとかするので、何か役に立つことが少しでもあるかなと思います
この熊本地震の震災ミュージアムの中核施設「KIOKU」は7月15日午前9時にグランドオープン。月曜が定休日だが、午前9時から午後5時まで入ることができ、入館料は熊本県内の高校生以下は無料、大人は500円、熊本県外の中高生は400円、小学生は300円となっている。
(テレビ熊本)