「福島県の猪苗代の秘湯に行く」安達太良山を訪れていた男性が7月13日に亡くなった状態で見つかった。火山性の有毒ガスである「硫化水素ガス」を吸ったことが原因の可能性もあるという。本格的な登山シーズンを迎え、有毒ガスから身を守るために気を付けるべきことを考える。
秘湯へ行くと言い残し
7月9日、東京都に住む73歳の男性は「福島県の猪苗代の秘湯に行く」と言い、福島へ向かった。その3日後の7月12日に、男性と連絡がとれないと妻が警察に届け出た。これを受けて福島県警が男性を捜索していたところ、7月13日に安達太良山の沼尻登山口付近で男性の車を見つけた。そして午後2時前、「湯の花採取場」近くで倒れている男性が見つかった。火山性の有毒ガス「硫化水素ガス」を吸ったことが原因の可能性があるという。

立ち入り禁止「湯の花採取場」
猪苗代町などによって、7月13日から立ち入りが規制された沼尻登山道。亡くなった73歳の男性が見つかったのは「湯の花採取場」付近の河川敷。湯の花採取場は、酸性の特徴を持つ源泉が湧き、硫化水素など有毒ガスの危険性から一般の登山客などの立ち入りが禁止されているエリアだ。

秘湯として話題 ルールを守らない人も
安達太良山では1997年9月、道に迷った登山者14人のうち4人が硫化水素中毒で死亡する事故が起きている。

源泉を管理する中ノ澤温泉株式会社の渡部恒一郎さんは「源泉の湯口付近は、大分危険なガスが出る場所。絶対近づかないようにしていただきたい」と危険性を訴える。近年、知る人ぞ知る「秘湯」として愛好家の間で人気が高まり、禁止区域に立ち入る人も増えたという。

天候次第では命に関わる
湧き出る源泉と自然の風景を感じることができると、人気となっている安達太良山の湯の花採取場。天候次第では命に関わる場所だという。渡部さんによると、亡くなった男性が滞在していた間はあまり風がなく硫化水素ガスが滞留しやすいいわば「危険な日」だったという。

渡部さんは「天気が良くて、風がない時にガスが溜まってしまったりする。風がある場合はガスも流されるので、そういうときは危険性はないが登山道から外れないように注意して頂きたい。温泉入るときは、沼尻温泉とか中ノ沢温泉とかあるので、そちらの方で楽しんで」と注意を呼び掛けた。

猪苗代町は、立ち入りを規制した登山道について1週間ほど経過をみて開放する予定。今後は立ち入り禁止のエリアの周知を徹底していくとしている。
(福島テレビ)