12日夜から断続的に降った記録的な大雨により、各地で大きな被害を出した富山県。

土砂崩れによって倒壊した空き家
土砂崩れによって倒壊した空き家
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南砺市では、土砂崩れにより空き家が倒壊。巻き込まれたとみられる男性が遺体で発見されました。

亡くなったのは南砺市市議会議員の赤池伸彦さん65歳。赤池さんの30年来の友人は、「めざまし8」の取材に対して、その人柄についてこう話します。

赤池市議の30年来の友人:
気さくで人当たりがよくて、議員としては申し分ない。地域のために一生懸命がんばってくれた。

市議としての活動だけでなく、市のバドミントン協会の会長を務めるなど、地域の活動にも積極的に取り組んでいた赤池さん。地域住民からの信頼も厚かったといいます。

赤池さんを知る人は…。

赤池市議の知人:
小学校低学年向けの教室で、子どもたちに運動の指導をしていただいたりとか。

赤池市議の知人:
慕われていたと思います、いつお会いしても優しい笑顔で。

最後まで避難を呼びかけ…直前まで共に行動していた自治会長語る

赤池さんの行方がわからなくなったのは、13日の午前1時半ごろでした。

南砺市では激しい雷雨となり、赤池さんが住む地区では川が氾濫する恐れが。

そこで赤池さんは、連絡がとれなくなっていた住民に直接、避難を呼びかけようとしていたといいます。

赤池さんが行方不明になる直前まで一緒に行動していた、鳥越知証自治会長
赤池さんが行方不明になる直前まで一緒に行動していた、鳥越知証自治会長

このとき、赤池さんと行動を共にしていた自治会長の鳥越知証さんによると、連絡が取れなくなった家屋には3人が住んでいましたが、辺りが冠水していて近づくことができませんでした。

そこで赤池さんと鳥越さんは市の対策本部に連絡。

鳥越知証自治会長:
ここの家と連絡がつかないということを、市に報告して。対策本部から消防に連絡するから国道の方で待機しなさいと。

いったんは市の指示に従って、付近の国道で待機していた2人。しかし、しばらくして2人は別行動をとることに。

鳥越知証自治会長:
2人でおるのもあれだからと、暗黙の役割分担で。赤池さんが先に現場に、ぐるっと回って行かれた。

その後、付近の空き家が、土砂崩れによって倒壊。

赤池さんとの連絡は途絶え、土砂崩れ発生から約11時間後の13日午後1時過ぎ、遺体となって発見されました。

赤池さんが助けに向かっていた住民は、空き家の倒壊後、鳥越さんから避難を呼びかける電話があり、自力で避難所に向かい無事だったといいます。

自らの危険も顧みず、住民の元へ向かった赤池さん。

4年前の2019年3月の市議会にて、地域の防災計画について意見を述べる赤池さんの姿がありました。

赤池伸彦市議:
常に様々な災害発生の危険性を抱えている南砺市において様々な対策を組み合わせて災害に備えていくことが大切であります。

13日に現場を訪れた田中幹夫市長は、赤池さんは普段から”地域の防災”に尽力していたといいます。

田中幹夫市長:
(赤池市議は)地域の自主防災とかこの辺りのコミュニティーというのは1人、1人の顔が全然分かりますので。当然誰がいたか誰がいなかったか、っていうのが分かりますので、それをやっぱり最後の確認に来てたんだろうと思いますね。

赤池さんの消息が途絶える直前に、共に行動をしていた自治会長の鳥越さんは、無念を口にします。

自治会長 鳥越知証さん:
必ず救わないといけない、という一心で。先に、とにかく行かれたと。こんな形でおわるなんて考えられない…。今から副議長、議長と実績を重ねて…どんどん(力を)発揮してもらうところだったのに。

(めざまし8 7月14日放送)