地域の外から来た若者らが、人の交流を活発化させて、課題解決に繋げる。そんな “町おこし”が広島・東広島市で繰り広げられている。「よそ者がもたらした新しい風」を取材した。

若者が梅狩りイベントを企画 人、もの、お金と感謝の心を“地域内循環” 

東広島市で催された梅の実の収穫体験。家族連れを中心に約180人がたわわに実った梅を次々ともぎ取っていく。

広島県東広島市
広島県東広島市
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参加者:
木の上にあるのを取ったりしてすごく楽しかった

ーー梅はどうやって食べる?

参加者:
梅シロップとおむすびとお酒にも使います

参加者:
呉市から来ました。梅狩りは初めてです。この子がカリカリ梅にしたいって言うので作り方を探してみようかなと思っています

梅狩り体験を企画したのは東広島市を中心に活動している団体「ひとむすび」。
代表の山田さんは三重県出身で、広島大学に進学したのをきっかけに東広島市で、自治体が地域振興の旗振り役として委託する「地域おこし協力隊」を経験。豊かな街つくりを目指し7年前にこの団体を立ち上げた。

山田芳雅さん(右端)
山田芳雅さん(右端)

ひとむすび代表・山田芳雅さん:
ひとむすびは“人”と“もの”と“お金”と“ありがとう”が循環する、そういう仕組みを作っていく会社です。地域内循環を回すことが、それぞれの人の豊かさだったり、町の豊かさに繋がってるのかなと思っています

キーワードは「循環」。今回のイベントでは訪れた人が収穫した梅を地域の人から直接購入し、収益は梅農園の維持に使われる。

この梅は、もともと20年ほど前に地域のみなさんで植えたもの。

この地域で暮らす 門山幸人さん:
この梅というのは花も楽しめる。実の収穫もできる。長く、この地域でのコミュニティ-の場ができることが目的だった

しかし、今は新たな問題が…

高齢化で収穫されなくなった梅の実

門山さん:
皆さん高齢化しておりますので、高いところへあがって収穫しなくてはいけないので、ちょっと大変です

急速に高齢化が進んだ中山間地。地域の人だけで収穫しきれなくなった梅は、そのまま朽ち果て、もったいない状態になっていたという。

ひとむすび・山田さん:
僕らがお客さんを呼んできて収穫をしてもらう。地域で捨てていたものにお金をつけることには意味がある

こうして2022年から山田さんたちのグループが関わり始め、地域に活気が出てきた。

この地域で暮らす 門井孝司さん:
今まで地元でなんとなく惰性的にやってたというか、無機質的なものだったんですけど、非常に去年から明るくなりまして、色々な会話を聞きながら収穫をできるというのは本当にうれしいですね

人と人が繋がって喜びが生まれる。活動には近くの大学に通う学生も参加するなど、世代を超えた広がりもみせている。

広島大学4年・伊藤百花さん:
みなさん楽しそうに梅を収穫されてて、すごく私も楽しいです。去年来てくれた人が、また来てくれたりっていうお話を聞いたりとか、いろんなところから来てくださってるっていうので、輪が広がっているなと思います

“よそ者”が入ることで地域が活性化

地域の外にいる人が関わることで、いままで当たり前に見過ごしてきたその土地の魅力を再発見することにもつながるという。

ひとむすび・山田さん:
僕らがよそ者として入ることによって、住んでいる人たちが活動人口に変わっていくことが大事だなと思っている。

ひとむすび・山田さん:
外の僕らが頑張っているからこそ、地域の人も、じゃあ頑張ろうかとか、大学生がおじいさんやおばあさんとしゃべって、そこで刺激をもらって、認めてもらえてるんだとか感じることがある。これだけ人が来てくれて喜んでくれてるんだって、その地域に返せたらそれでいいなと思っている。まさに外からの働きかけが、影響することは意味があると感じる

その土地に生まれ育ってないからこそ、できることがある。“よそ者”が吹き込んだ風が地域を活性化させる。これから様々な取り組みが期待されている。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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