少子化で遊ぶ相手がいなかったり、”小1の壁”など子育て世代の悩みは尽きない。「一人で家にいる時間を、なるべく少なくしてあげたい」そんな母心で出来た、子どもたちの居場所がある。ここでは、駄菓子を食べたり宿題したり遊んだり、放課後児童クラブのような利用条件もないという。

宿題・友達づくりの場

毎週月曜日の午後。福島県大玉村には学校帰りの子どもが集まる場所がある。それが“中町にあるみんなの家”「naka home」
ここに通う児童は「家だと宿題があまり集中できないので、ここだとみんないるので安心して宿題ができる」「新しい人と遊ぶと友達が増えて、一緒に帰れる」と話す。

宿題したり遊んだり 思い思いに過ごす
宿題したり遊んだり 思い思いに過ごす
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お母さんたちが運営

多い時には20人から30人が集う「naka home」は、五十嵐真由子さんと今井綾子さん、2人のお母さんがボランティアで運営している。

五十嵐真由子さんと今井綾子さん 
五十嵐真由子さんと今井綾子さん 

五十嵐真由子さんは「宿題やったの?ほんとにもうないの?」という感じで、子どもたちのお母さんがやってるようなことをやっていると話す。

五十嵐真由子さん 通ってくる子どもたちも自分の子のように
五十嵐真由子さん 通ってくる子どもたちも自分の子のように

今井綾子さんも「最初来た時は話せなかった子が、話してくれたり挨拶もしてくれるようになると、ちょっと心の扉が開いたのかなとこっちもニヤニヤしながら話する感じ」と”お母さん”ならではの目線で運営している。

今井綾子さん 子どもたちの変化にやりがいも
今井綾子さん 子どもたちの変化にやりがいも

気軽に集える場所があれば

大玉村内には放課後児童クラブもあるが、利用するには保護者が仕事で昼間に家にいないなどの条件があるうえ、保育料も必要。「子どもが楽しく過ごせる場所があったら良いのに」とご近所同士の2人が話していたなかで、誰でも顔を出せる居場所を作ろうと思い立った。

誰でも気軽に 入り口には「おかえり」の文字
誰でも気軽に 入り口には「おかえり」の文字

五十嵐さんは「そんなに縛りつけることなく、もっと気楽に親御さんが帰ってくるまでいれるかなと。ちょっと緩い感じで作ってみようかなっていうのがきっかけ」と話す。

子どもたちは友だちの家に遊びに行く感覚で
子どもたちは友だちの家に遊びに行く感覚で

地域の活力にも

大玉村は空き店舗だった建物をサロンに生まれ変わらせ、NPOに管理・運営を委託。「naka home」は毎週月曜日の午後2時から午後5時までの間だけ、場所を借りて開設されている。
中でも子どもに人気なのが、駄菓子の販売。

駄菓子の販売も 子どもたちに大人気
駄菓子の販売も 子どもたちに大人気

駄菓子を食べながら宿題をしたり遊んだり。初めて利用した母親は「駄菓子屋もこの辺りにたくさんあったが、なくなってしまって、子どもたちが買い物する場所がなかった。なので買い物の体験とかできて勉強にもなるし、いい施設だなと思う」と話す。また近所のお年寄りも「子どもの声は元気をもらえる。孫がいるといいなって思う」と地域に元気を与える場所にもなっている。

お買い物の勉強にも
お買い物の勉強にも

これからを担う子どもたち

「naka home」のオープンから1年2ヵ月。五十嵐さんは「今、少子化で子どもたちも減ってきている中で、今いる子どもたちをいかに幸せにできるか。子どもたちに何か残して、子どもたちが将来またこの村を大きくしてくれればと思う」と話す。

地域全体で子どもの成長を見守る
地域全体で子どもの成長を見守る

故郷と仲間に育まれた子どもが、将来大きく成長して村の力になってくれることを”2人のお母さん”は願っている。

(福島テレビ)

福島テレビ
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