暑さが厳しくなる中で心配されるのが、保育施設などの送迎バスに子どもが取り残される事故だ。
2023年4月から送迎用バスの置き去り防止安全装置の設置が義務付けられたが、宮崎県内の状況はどうなっているのか、その実態を取材した。

義務化された「置き去り防止安全装置」の現状

2022年、静岡で園児が送迎バスに取り残され亡くなった事故などを受け、国は全国の幼稚園や認定こども園などを対象に、2023年4月から送迎用バスに置き去り防止安全装置の設置を義務付けた。

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1年間を経過措置の期間としているが、熱中症リスクも高まるため、可能な限り6月末までの整備を求めてきた。しかし、全国の幼稚園などを対象にした国の調査では、6月末までに整備が完了するバスは、全国で55.1%、宮崎では58.4%という状況だった。

宮崎県によると、設置率が伸び悩んでいるのは、毎日のように稼働している送迎バスへの安全装置を取り付ける時間が限られ業者との調整がつかないこと、製品の納期に時間がかかることなどが要因のようだ。

設置だけでなく“日々の訓練”も

宮崎市霧島の野の花幼稚園では、2023年6月に送迎バスに安全装置の設置をした。

送迎バスに安全装置の設置している野の花幼稚園
送迎バスに安全装置の設置している野の花幼稚園

野の花幼稚園では、2022年11月ごろから導入を検討。2023年4月に発注し、6月12日から安全装置の運用を始めている。

警報を止めるボタンを押す、野の花幼稚園の大重美貴園長
警報を止めるボタンを押す、野の花幼稚園の大重美貴園長

野の花幼稚園・大重美貴園長:
エンジンを完全にオフにすると発報がありまして、後ろのボタンを押さないと放送が止まらないという形になっています

車内にも警報音を作動させるボタンがあり、日頃から園児たちがボタンを押す訓練もしているという。

野の花幼稚園・大重美貴園長:
2重3重のチェックという意味では多少安心感はあるし、保護者の方々にも信頼いただけるのではないかと思っています。幼稚園が一番大切なのは安心・安全ということが第一だと思います。少しでも子どもたちの健康や安全を守れるように今後も努力していきたいと思います

自動検知式の安全装置、県内企業が開発

宮崎市のIT企業「iT Sherpa(アイティーシェルパ)」では、県内企業では初めて、国土交通省が定める要件をクリアした安全装置の開発・販売をしている。

ブザーで車内確認を促す「降車時確認式」に加え、エンジン停止後に人感センサーで人や物の動きを検知すると、車外警報機やショートメールで知らせる「自動検知式」を併用。
購入する際は、自治体から1台あたり最大17万5,000円の補助を受けることができる。

iT Sherpa 宮崎支社・尾堂祐一さん:
弊社の強味でいうと、ITの技術。それで何か作れないかというので、この見守りシステムというのを開発していこうと

2023年3月から販売を始め、九州各県で約30台ほど納品している。

iT Sherpa 宮崎支社・尾堂祐一さん:
小さいお子さんが亡くなるというのは本当に心が苦しくなるので、そういった事故がゼロになるようにしていきたいし、なってほしいなと思います

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
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