7月13日から刑法が変わり、性犯罪の規定が大幅に見直された。

7月13日に施行された改正刑法の主なポイント
7月13日に施行された改正刑法の主なポイント
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13日に施行された改正刑法では、「強制性交罪」と「準強制性交罪」が統合され、「不同意性交罪」などに罪名が変更された。そして「わいせつ目的面会要求罪」が新設され、わいせつ目的で16歳未満の子供に面会を求める、いわゆるグルーミングといったものが処罰の対象になった。

また、「性交同意年齢」=性行為への同意を判断できるとみなす年齢は、13歳から原則16歳に引き上げられた。さらに、「性的姿態撮影処罰法(撮影罪)」が新設され、盗撮や盗撮画像の提供、保管の禁止が制定された。

「不同意性交罪」成立に必要な要件は8つ

なかでも注目されている改正のポイントは「不同意性交罪」だ。

罪名が変更されるきっかけになったのは、2019年の裁判だった。
愛知県で父親が当時19歳の実娘に性的暴行した罪に問われた裁判で、一審の名古屋地方裁判所岡崎支部が娘の同意がなかったことを認めた一方で、「著しく抵抗できない状態だったとは認められない」として無罪を言い渡した。

これまでの強制性交罪では、性行為を犯罪として処罰するには、相手が同意していないことに加えて、加害者が暴行や脅迫して犯行に及んだことや、抵抗できない状態につけ込んだことの証明が必要だった。

今回「不同意性交罪」になったことで、同意のない性行為は犯罪になり得ることが明確となった

罪の成立に必要な要件としては、具体的に8つの行為を示している。

1. 暴行・脅迫
2. 心身の障害

知的障害に乗じた性行為などを指す
3. アルコール・薬物の摂取
4. 睡眠など意識不明瞭
5. 拒絶するいとまを与えない

すれ違いざまに体を触るといった行為がこれにあたる
6. 恐怖・驚愕
マッサージ店で突然わいせつな行為をされるなどした場合はこれにあたる
7. 虐待による心理的反応があること
DV被害者への性行為などを指す
8. 経済的・社会的地位に基づく影響力
上司などの立場を悪用するケースが当てはまる

こうしたことにより、被害者が「同意しない意思」を表すことなどが困難な状態で性行為に及んだ場合、処罰対象となる。

「撮影罪」新設に航空業界から期待の声

また、今回の法改正では、盗撮を防ぐための「撮影罪」も新設された。

これまでは盗撮を全国一律で取り締まる法律はなく、各都道府県の迷惑防止条例等で取り締まってきた。今回新設された撮影罪では、わいせつな画像を撮影する行為のほか、盗撮画像の提供や保管も処罰対象になり、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科せられる。

この撮影罪により、盗撮被害が減るのではと期待の声を上げているのが航空業界だ。長年、客室乗務員が盗撮被害に遭っていたというが、処罰の対象になりにくい飛行機ならではの理由があった。飛行機の場合、どこの県の上空で撮影されたのかを特定することが難しく、各都道府県の迷惑防止条例での取り締まりが困難だったのだ。

ANA取締執行役員の西嶋直子客室センター長は、「発生した場所が特定できずに、処罰の対象になりにくいということが課題でした。航空機内での行為が処罰の対象となることが、航空業界として大変ありがたいと受け止めています」と話す。

一方で、撮影罪には、競技中のユニホームの姿の撮影行為は盛り込まれなかった。アスリートからは法整備の必要性を訴える声も出ている。

(「イット!」7月13日放送より)

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