記念カレーが登場した。難工事の末、このほど長野・静岡県境の「青崩峠トンネル」が貫通、これを祝おうと、地元の飲食店がトンネルを模した特別なカレーを提供している。店主によると、カレー作りも「難工事」だったという。

技術の進歩で再挑戦
壁にぽっかりと開いた穴。
「トンネル貫通ばんざーい!」
5月26日、飯田市側と浜松市側から掘り進めていた「青崩峠トンネル」が貫通した。
「青崩峠」は列島を走る大断層・中央構造線の影響を受け、その名の通り崩れやすい難所。

国は一度、トンネル建設を断念した。
計画浮上から40年。
技術の進歩で、再挑戦しようやく貫通した。
トンネルは「三遠南信自動車道」の一部となり開通すると、愛知・静岡へのアクセスが各段に向上する。

カレー作りも“難工事”
今回の「貫通」を受けて地元・飯田市南信濃の「食楽工房元家」では、先週から特別メニューを提供している。
その名も「青崩峠トンネル貫通記念カレー」。(税込1520円 ※数量限定)
ご飯の下にあるちくわを、トンネルに見立てている。

食楽工房 元家 店主・片町元彦さん:
すごい難工事だと言われていたこのトンネルが、貫通したということで、気持ちとか思いを形にしたくて今回作らせていただきました
当初、ご飯だけでトンネルを作ろうとしたが、青崩峠同様、崩れやすかったため、断念。
代わりにちくわのトンネルで「開通」させた。

「海まで早く行けるように」
大きなエビフライは、海まで早く行けるようにという思いでつけたという。
遠州灘が近づくことを期待して乗せた。
南信濃にちなんだ物もー。
カレーは地元で捕獲された鹿肉を使ったキーマカレーで、「遠山郷の霜月祭り」に登場する「お面」のそば粉クッキーが添えられている。
客からは「ちくわにカレーって珍しい、ちょっと面白かった」などと好評だ。

工事への経緯と開通への期待込め
この日、青崩峠トンネルの関係者も来ていた。地質のエンジニアとして10年間、工事に携わってきた。
青崩峠トンネル工事の関係者:
感無量です、私50年間トンネルやっているんですよ。ここの難しさっていうのは3本指に入るくらい。今までトンネルの貫通で、ランチができたなんて経験ないですから、これはうれしいですよ

工事への敬意と開通への期待を込めた特別なカレー。
店は当面の間、提供を続けることにしている。
食楽工房 元家 店主・片町元彦さん:
もちろん地元の人たちにも喜んでいただきたいですし、来ていただいた観光の人たちにも食べていただきたい

(長野放送)