夏の高校野球・熊本大会、注目のチームを紹介する。第2シード・有明高校は、いま熊本県内で最も勢いに乗っているチームだ。
チームの武器は“走力” 九州大会では13盗塁
有明高校・山下登阿主将:
「甲子園に導かれるチーム」というスローガンをもとにやってきたので(夏は)また新しいチームを作っていけるようにやっていきたい

春の熊本大会に続き見事、九州大会でも優勝した有明高校。いま県内で最も勢いに乗っているチームの武器は「走力」だ。

九州大会では、初戦から決勝まで合わせて13盗塁を記録。特に決勝の大分舞鶴戦では、走る、走る、走る。

隙があればどんどん先の塁へ。実に1試合で6つの盗塁を決めて見せた。

有明高校・山下登阿主将:
スプリント(短距離走)を意識して、少しでも足が速くなるようなフォームに変えていけるよう練習しています
走力アップの秘密は短距離トレーニング
走力アップの秘密は、冬の間に取り組んできた「短距離」系のトレーニングだ。

地面に置いたマーカーを目印に跳ねるように。今度は腕を上げながら走り、足の動きに集中する。練習内容の見直しで、野球に必要な「スプリント能力」が大きく伸びたという。

有明高校・山下登阿主将:
「何のために走ってるんだろう?」という目的が選手同士でも共有できていない部分があった。(これまでより)距離を短くして、質が高い動きをしたりとか

転機は2022年秋、センバツ甲子園を目指す大会の初戦で敗れ、選手たちがバラバラになりかけたことだった。

山下主将が一人一人とミーティングをした結果、見えてきたのは「走る練習」への疑問と不満。走りこんで足腰を鍛える、というのはよく聞く話だが、野球のプレーには含まれない長距離を漫然と走っていることに気づいたという。

有明高校・山下登阿主将:
いろんな動きをしながら走りで使う股関節を強化して、コーチがいろんなメニューを考えてくださって、少し陸上に近づけたような練習を毎日、年間通してやってきました

30メートル、50メートルなど短距離に特化したタイムはデータを蓄積して貼りだす。誰がどれだけ伸びたのかを「見える化」し、選手のモチベーションへとつなげる工夫だ。
鍛えた走力生かす打線にも注目
鍛えた走力で先の塁を陥れたランナーを返すのは、1番を打ち長打力も兼ね備える村田雅道選手(3年)。

そして、九州大会決勝でサイクルヒットを達成した4番の小林陽選手(3年)。

打線も県内屈指の破壊力を誇る。

投手陣は、九州大会決勝で先発・完投し、優勝に貢献した3年生の吉田空雅選手(3年)。

そして、春のエースナンバーを背負った2年生・稲岡寛太選手と、2人のサウスポーが安定感ある投球を見せている。

夏を目前に控え、山下主将のノートには「どれだけ自分にできることをやれるかが、夏の大会で勝つために必要」と記されていた。
とびぬけてはいないが積み上げた努力
“甲子園に導かれるために”とびぬけた選手はいなくとも、キャプテンを中心にコツコツと積み上げてきた有明ナイン。

その努力の答えが、まもなく示される。
(テレビ熊本)