6月27日、母親の自殺を手助けした疑いで逮捕された歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(47)。

この記事の画像(9枚)

現代劇のような効果音や光の演出を使った「スーパー歌舞伎」など、既成概念にとらわれない舞台を作り続け、人気を博してきました。

屋台骨であった猿之助容疑者の逮捕によって澤瀉屋(おもだかや)では、猿之助容疑者のいとこである市川中車さんが舞台の上で”代役”を担うと共に、一門のまとめ役に。

人気俳優であるが故に、来年の予定も一部組まれていた猿之助容疑者。公演中止などの余波は広がりを続けています。

今回の事件が与える影響について、歌舞伎に関する多数の著作を持つ演劇評論家の上村以和於氏はこう話します。

演劇評論家 上村以和於氏
演劇評論家 上村以和於氏

演劇評論家 上村以和於氏:
それはもう本当に大きいです。(澤瀉屋には)他にも何人かいますけども、やはり一番中心になって、年齢も働き盛りですし、しかも観客動員力というのもおそらく(澤瀉屋の中では)猿之助が今一番だったなというほどですので、直接の影響というか、これはもう大打撃ですね。

果たして150年以上に渡って継承されてきた”大名跡”である「市川猿之助」はどうなってしまうのでしょうか。

「めざまし8」が、猿之助容疑者の所属する澤瀉屋一門の関係者を取材したところ、歌舞伎界では逮捕されたとしても、本人が引退や名前の継承を宣言しない限り、名跡を強制的に剥奪することはできないといいます。

今後について一門の関係者は、「猿之助が逮捕されたばかりなので、現時点では今後の澤瀉屋について、何の想像もできません。おそらく松竹も混乱していて、まだ考えられていないと思う」と話します。

Q.「猿之助」という名跡は歌舞伎界にとってどのような存在だったのですか?

演劇評論家 上村以和於氏:
実は明治になってから生まれた名跡です。ですから歌舞伎の中ではわりと新興の、150年ですから新しい家なわけですね。その中でもちょっと特異な存在であったと思います。四代それぞれの時代で、新しい試みを積極的にやった人たちだということは共通していると思います。宙乗りにせよスーパー歌舞伎にせよ、それぞれの時代で新しい試みをやった。そういう家です。

宙乗り
宙乗り

各一門には、重要な名跡というものがいくつかあり、澤瀉屋では「段四郎」と「猿之助」がそれにあたります。現状、適任者がいないならば、空席がふさわしい、澤瀉屋にとってこれ以上名前を汚さないために「止め名」のまま空けておくという選択も考えられているといいます。

演劇評論家 上村以和於氏:
(止め名にするという)そういう声が聞こえ始めていると。ないとは言えないと思います。「止め名」にするときは、その時々で色々な理由があるでしょうけど。しかし、私が実際に歌舞伎を知るように、名手からはそのような例というのはそんなに。また、こういうことは大っぴらに発表することでもありませんから。ただ、「段四郎」「猿之助」を今すぐ誰かが継ぐということにはなりにくいですよね。

(めざまし8「わかるまで解説」より 6月28日放送)