6月27日、歌舞伎俳優の市川猿之助、本名・喜熨斗(きのし)孝彦容疑者(47)が、母・延子さんの自殺を手助けした疑いで逮捕されました。

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今後、捜査の焦点となってくるのは、父・市川段四郎さんの死亡の経緯。

猿之助容疑者と父・段四郎さん
猿之助容疑者と父・段四郎さん

フジテレビは、猿之助容疑者と両親を知る関係者を取材しました。

「ものすごく神経質。すごく気が小さい」関係者語る猿之助容疑者

「週刊誌報道をきっかけとして家族会議が行われ、みんなでさよならすることにした」

捜査関係者によると、”心中を図った”という趣旨の説明を続けている猿之助容疑者。

事件当日に一部週刊誌が報じた猿之助容疑者の「ハラスメント疑惑」。事件後、容疑者の所属事務所が「自社が管轄する現場においてはそのような事実は出てきていない」と否定していました。

猿之助容疑者の一門である澤瀉屋の関係者は、猿之助容疑者の様子についてこう話します。

澤瀉屋一門の関係者:
自分だけのことを考えて、周りのことを全く考えられないくらい余裕がなかったのかなと思います。ものすごく神経質。すごく気が小さいんですよ。臆病で、ちょっとプレッシャーとか嫌なことがあると、不安定になっていたかもしれない。

澤瀉屋一門の関係者:
いろんな事で気になってしまったら、寝られなくなってしまうタイプだと思います。子どもの時から、そうだったですから。

コロナ禍真っただ中の3年前、歌舞伎役者として”何でもできる人”を目指していると語っていた猿之助容疑者。その裏では「何でもできないといけない」というプレッシャーを感じることもあったのでしょうか?

闘病中だった父・段四郎さん 容疑者が行った「後始末」

猿之助容疑者は、警察に対し「楽に死なせてあげるために両親にビニール袋をかぶせた」と話しており、警察は、直接の死因にはつながっていないものの、延子さんの死を早めた可能性について詳しく調べる方針だといいます。

亡くなる前の父・段四郎さんについて、猿之助容疑者と両親を知る人は…。

猿之助容疑者と両親の関係者:
段四郎さんは10年ほど前から病気を患い、闘病中で積極的に外出できない状況下で日常生活を送っていました。段四郎氏が自ら命を絶とうとしたかどうかは不明です。

家族で話し合って心中を決めたと供述している猿之助容疑者。使用したと語ったビニール袋と薬の包みについては、「後始末を自分が行うことになった」と供述。ごみとして捨てたと話しています。

一連の行動について、元埼玉県警捜査一課の佐々木成三氏は。

元埼玉県警捜査一課 佐々木成三氏
元埼玉県警捜査一課 佐々木成三氏

元埼玉県警捜査一課 佐々木成三氏:
自殺だったら散らかっている状態でいいんじゃないかなと思いますけど、やっぱり身の回りをきれいにした状態で亡くなる。布団をかぶせている状態ということもありますので、もしかすると「立つ鳥跡を濁さず」という形の中で”後始末をする”ということを考えたのかも知れません。

元埼玉県警捜査一課 佐々木成三氏:
もちろんこれは、証拠隠滅のおそれも十分考えられます。ただ、ある程度警察においては司法解剖などでどれくらいの致死量を服用しているのかということも判明していますし、容疑者も大量の睡眠薬を飲ませたと伝えていますので。もしかすると大量の睡眠薬、向精神薬になるので、大量に飲んだということがばれると、今後誰かに迷惑がかかると考えたのではないかと。

27日、母・延子さんからは、2種類の睡眠導入剤の成分が検出されていることが分かりました。この薬について、法科学研究センターの雨宮正欣所長はこう話します。

法科学研究センター 雨宮正欣所長
法科学研究センター 雨宮正欣所長

Q.使用された薬は大量に摂取することは難しいでしょうか?

法科学研究センター 雨宮正欣所長:
今までの報告例の話ですけども、いわゆる亡くなるというケースは極めて珍しいと。(寝たきりの方が)手助けがなく摂取するのというのはなかなか難しいと思います。当時の状況というのは、お医者さんが介護の認定とかをされる際にある程度の記録というのは残っていると思いますから、そことの比較はもちろんする必要があると思いますけども、では第三者がもしそういうことをするときに、どういう手段が考えられるか、これは解明していかなければ分からないことだと思います。

Q.高齢者と若い人とで致死量が違う?

法科学研究センター 雨宮正欣所長:
はい。当然のことながら代謝という、薬物を分解して無毒なものにするという機能が、病気の方や高齢の方は落ちている可能性がありますが、その分、健常な方に比べて量が少なくても命に関わることになると、その危険性は高まると思います。

そして、父親の死との因果関係については…。

元埼玉県警捜査一課 佐々木成三氏:
母親に対する事案については、自殺ほう助罪、警察もこれは検事、色々なところの擬律判断で「ほう助」と決めています。そういう中で母親の死因も窒息の所見はないと。薬物中毒死という中で、実際これ(ビニール袋)をかぶせた・かぶせないというのは、母親にとっては因果関係がないと警察も判断していると思います。父親に関しては、やはりまだ「事件」として打ち消せない部分が多くある中で、解剖医の先生の話を聞きながら判断していくと思います。

若狭勝弁護士:
少なくとも父親の状態がどの程度なのかというところにかかっていると思います。本当に身動きができない、意思疎通もできないような状態なのか。そうではなくて、身動きは取れて意思疎通もできる状態だったのか。
その程度によっては、大量の薬物を飲むことができるかどうかにも関係してくるし、あるいは猿之助容疑者が家族会議で3人で死のうということを決めたと。そのときに、もし仮に寝たきりであまり意思疎通もできないような父親であったとすれば、俺も死ぬと、俺も自殺したいということをそもそも言うかということにかかってくるわけですから。

若狭勝弁護士
若狭勝弁護士

若狭勝弁護士:
父親に対して単なる自殺ほう助じゃない、仮に殺人ということがあれば、警察もそちらの方も視野に入れながら動いている。27日に逮捕されて、取り調べがこれから本格化するわけですけど、まさに今回の案件は取り調べの攻防戦、猿之助容疑者側と警察が、どの程度どういう形で追求していくか。それによって今後の父親に対する犯罪行為が何になるのか、決められていくと思います。

(「めざまし8」6月28日放送)