喫煙者と非喫煙者を比較すると、喫煙者は「食事に行く頻度」や「1回の食事の支出金額」、さらには「団体で食事する割合」も高い傾向にあることがわかった。

これは株式会社エルゴジャパンが4月に東京都に住む喫煙者と非喫煙者、それぞれ605人を対象にアンケート調査して判明したもの。

飲食店に食事に行く頻度について、週1回以上と答えた人の割合は、喫煙者が38.8%、非喫煙者が20.7%と喫煙者の割合が、非喫煙者の約2倍だった。

食事に行く頻度について(画像提供:株式会社エルゴジャパン)
食事に行く頻度について(画像提供:株式会社エルゴジャパン)
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また食事の支出金額については、5000円以上の支出があった割合は、喫煙者が31.5%、非喫煙者が17.3%と喫煙者の方が高額になる傾向が見られた。

食事の支出金額について(画像提供:株式会社エルゴジャパン)
食事の支出金額について(画像提供:株式会社エルゴジャパン)

一緒に行く人数については、3人以上の割合が喫煙者は43.3%で非喫煙者は33.7%。喫煙者の方がグループで食事に行く傾向があることがわかった。

ここまでのアンケートの結果、喫煙者と非喫煙者を比較すると、喫煙者の方が、外食する頻度が高く、1回の支出金額も高く、グループで食事をする割合が高い傾向にあり、飲食店にとって喫煙者が重要な客であることが読み取れるのではないだろうか。

食事の人数について(画像提供:株式会社エルゴジャパン)
食事の人数について(画像提供:株式会社エルゴジャパン)

他にも「飲食店を選ぶ際に決め手となるポイントは何か?」について聞いており、、「アルコールの種類」と答えた人の割合が喫煙者は33.2%、非喫煙者は17.4%と、喫煙者のほうがアルコールの種類を重視していた。

また理想の分煙環境についての質問では、非喫煙者の61.8%が完全禁煙、そして37.3%が分煙を望んでいることがわかった。エルゴジャパンによると、約40%の非喫煙者が分煙を求めていることから、喫煙者への配慮や尊重の姿が読み取れたという。一方で喫煙者は、59.2%が室内での喫煙(分煙)を求めていた。

喫煙者にとって風当りが強い状況が続いているが、飲食店にとっては、喫煙者が重要なお客様ともいえるかもしれない。では、この調査結果を参考に、飲食店はどう対応していったらよいのか? 調査を行った株式会社エルゴジャパンの担当者に詳しく話を聞いてみた。

喫煙者は支出に対して寛容

――喫煙者のほうが食事に行く頻度が高いという結果、どう見ている?

喫煙者の方は、お酒が好きで、アクティブなイメージがありました。飲食店の経営者さま、店長さまなども、同様なイメージをお持ちであることは、認識していました。2倍という数字は、驚きましたが、イメージを裏付けた、と考えております。


――では、喫煙者のほうが飲食の支出金額が高額になる傾向については?

喫煙者は、お酒を飲んでいる時にタバコが吸えなければ、店を出てタバコを吸いたくなります。タバコを吸いながら、食事やお酒を楽しみたくなり、つい注文が増えます。お酒とタバコは、相性が良いです。


――飲食に限らず、喫煙者のほうが財布の紐がゆるい傾向にある?

喫煙する方は、ある程度の頻度で一箱500円程度のタバコを買います。ドリンク一杯、おつまみ一品の支出に対して寛容である、との飲食店経営者さまや店長さまの意見もお聞きします。


――喫煙者の方がグループで食事に行く傾向がある点はどう?

比較的アクティブで社交的、又、親分肌(面倒見が良い)の方が多いイメージがあります。

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喫煙者・非喫煙者、どちらも快適となる環境を!

――分煙のメリットとデメリットを教えて

まずは、席で喫煙できることと分煙は異なります。繁華街などでは、席で喫煙できることをアピールする店舗も多くあります。非喫煙者は、席でタバコを吸えることを嫌がります。喫煙者も、非喫煙者と一緒の場合、なるべく煙が掛からないようにしたり、本数を減らすなどの配慮をしています。店舗としては、タバコの煙を嫌がる従業員やアルバイトの方もいますし、店の壁紙などがヤニなどで汚くなります。

一方、分煙は、喫煙者は席を立つ必要はありますが、気兼ねなく喫煙をすることができます。非喫煙者も、煙やニオイ漏れのない喫煙室があれば、タバコのニオイなど気にする必要がありません。店舗で働く従業員も快適になり、壁紙が汚れることもありません。

分煙のデメリットは、店舗としては、席が減る可能性があり、コストが掛かることです。喫煙者においては、席は立たなくてはなりませんが、店内なので、それほど苦にはなりません。また、非喫煙者の方は、タバコを近くで吸われることを嫌がる方もいますが、完全な分煙であれば、気になることはありません。弊社のスモーククリア(高性能な喫煙ブース)は、タバコのニオイや煙を感じさせない「クリア分煙」を実現します。弊社は、非喫煙者をタバコの煙やニオイから守ることが一番重要と考えています。


――飲食店にとって、喫煙者は重要なお客であることがわかったが、世間的に喫煙者に対して風当りが強い状況もある。飲食店はどう対応していくべき?

2020年4月改正健康増進法施行により、屋内原則禁煙となりました。喫煙する場合、喫煙専用室等の設置が必要となります。コロナの時期(2020年1月)と重なったこともあり、準備が整わなかったりなど意図せずも含め、屋内全面禁煙にした店舗が多数あります。改正健康増進法により、喫煙者が急速に減るであろう、と考えていた飲食店経営者さまも多いと思われます。

しかし、現実には、喫煙率(男性約30%、女性約10%)は大きくは下がらず、喫煙者は減っていません。アンケートにもありますが、喫煙者は、食事(特にアルコールを伴う食事)をする際、喫煙ができる店を選びます。宴会などの予約の場合、幹事が喫煙環境を確認するケースも多いとお聞きします。一方、非喫煙者の方は、席でタバコを吸える店(喫煙目的店・喫煙可能店)を嫌がります。両者のニーズに対応する為、飲食店さまは、お客さま満足度向上、売上アップのため、分煙にしようとする動きがあります。

今回のアンケート内容から、想定以上に消費者自身も共存することを大切にしながら、お互いへの配慮や気遣いを大切にしていることも読み取れました。喫煙者また非喫煙者にとって、いずれにも快適となるようなそんな分煙環境が求められているのではないでしょうか?



飲食店では、喫煙者、非喫煙者、両者のニーズに対応するため、分煙にしている所が多いようだ。経営的にも喫煙者は無視できない存在のため、この先も、喫煙者・非喫煙者それぞれが配慮や気遣いをして、共存していくことが大事なのかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。