暑くなり「夏の汗のニオイ」が気になっている方も多いのではないか。生活雑貨専門店では、汗のニオイを防ぐ商品が、去年より2倍も多く売れている。どんな対策をすればいいのか取材した。

体臭には「ミドル脂臭」「加齢臭」といった種類がある

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「体臭の種類」から「間違った対策」まで、汗のニオイや体臭に詳しい“ニオイのプロ”、内科医の桐村里紗先生に聞いた。

まず体臭の基本的なところを整理する。そもそも体臭とは、「汗臭」と「皮脂臭」が合わさったものだ。特に梅雨の時期、高温多湿になると、汗が蒸発せず皮膚上にとどまりやすくなり、さらに空気中の水分と混じってニオイが漂うことで、体臭が気になるということだ。まさにこれからの時期に注意が必要だ。

桐村里紗医師:
今、最も“ニオイリスク”が高くなった時期と言えます。ニオイの発生原因となる汗や皮脂も増えますし、汗が乾きにくく蒸れやすいということで、ニオイが発生しやすくなります。そのうえに湿度が高いとニオイ分子が空気中にとどまって、他人の鼻に届きやすくなってしまうんです

「体臭」には種類があるということだ。

「ミドル脂臭」
30代半ばから50代半ばで出ます。特に後頭部から出ると言われていて、例えるなら「使い古した油」のようなニオイとのこと

「加齢臭」
50代半ばから、胸や背中から出ると言われており、例えるなら「古本」「枯れ草」のようなニオイだそうだ

40代の吉原キャスターは「家族から枕が臭いよ」と言われるそうだが、これはミドル脂臭になるのか?

桐村里紗医師:
40代だと年齢的にミドル脂臭だと思います

ミドル脂臭には男女の差はあるのか?

桐村里紗医師:
男性に多いと言われているんですが、女性でも発生しないことはありません。男女差はあって、男性は年を取っても皮脂量が減らないんですが、女性は年齢とともに皮脂の分泌が減っていきますので、女性はニオイの原料が少ないことになります。ですので男性の方が気になりやすいですが、ミドル脂臭は男女ともに関係あります

体臭対策間違っていない? “シャンプー1日2回”などNG行為に要注意

対策についてですが、良かれと思っていることが間違っているかもしれない。NGな対策をまとめた。

・シャンプーを1日2回以上はNG
・汗を拭くのに乾いたタオルはNG

桐村里紗医師:
シャンプーですが、皮脂は洗いすぎてしまうと、逆に皮膚を守ろうとして、皮脂分泌が増えてしまうんです。なのであまり洗いすぎてもいけないです。1日1回洗うと24時間で皮脂量は回復してきますので、1日1回程度にしていただくのが標準じゃないかと思います。洗ったらすぐに髪を乾かして、蒸れないようにしてください

桐村里紗医師:
タオルは、“濡れタオル”がいいです。乾いたタオルは汗のニオイ成分を拭き残してしまいます。あと汗というのは皮膚の上から蒸発することで体温を奪う作用があり、熱中症予防になっているんですね。乾いたタオルで汗を拭きとってしまうと蒸発する作用がなくなってしまい、熱中症リスクが高まってしまいます。ですから濡れタオルで拭いて、水が皮膚から蒸発する状態を作っていただいた方が効果的になります

NGな対策は他にもある。

・制汗スプレーや制汗シートの使いすぎNG
・過度な香水もNG

桐村里紗医師:
制汗スプレーは汗の管を塞いで、汗を抑制してしまうので、熱中症リスクを高めます。制汗スプレーを使う場合は、脇とか足の裏などポイント 使いをしていただきたいです。あと汗拭きシートですが、アルコール成分が入ったものだと 、皮脂なんかを拭き取りすぎてしまい、皮膚を守ってる常在菌も一緒に拭き取ってしまいますので、肌荒れの原因にもなってしまいます。アルコール成分が入ってない、肌に優しいタイプを日常的には使っていていただくといいんじゃないかなと思います

桐村里紗医師:
香水をどう使うかですが、香水と汗のニオイが合わさって、良いニオイに変わる場合もあるんですけども、逆にものすごく変なニオイになってしまうこともあるんですね。これは変調という効果なんです。なので香りの相性を確かめていただく。あと手首に付けると付けすぎてしまいますので、空気中に振って、霧を浴びるように、そこはかとなくまとうのが良い付け方になります。 この時期ですと、柑橘系のさっぱりしたニオイが汗と相性がよく、オススメです

効果的な対策は“1日1回汗をかく”、“機能性肌着”

NGな対策が分かってきました。では効果的な、“きょうからできる体臭対策”はこちらです。

・入浴や運動で、1日1回、じわっと汗をかく
・“速乾・消臭・抗菌”といった効果がある機能性肌着を着用する

お風呂や運動で汗をかくことが大事なのか?

桐村里紗医師:
皆さん頑張って汗をかかないようにするんですけども、汗というのはかけばかくほどにおいにくい、サラサラして蒸発しやすい汗になってくるんです。 1日1回体を温める、じわっと汗をかくようにすると、汗の塩分濃度が下がり、サラサラしたいい汗をかけるようになってきます。必ず1日1回はお風呂とか運動とかやっていただけたらと思います

あと機能性肌着ですが、服もニオイの原因になっているということですか?

桐村里紗医師:
体臭というのは体の直接のニオイじゃなくて、服のニオイも合わせて体臭って感じられます。服は汗やあかなど菌のえさがたくさんついているので、蒸れるとにおいやすくなってしまうんです。速乾性のあるものとか、消臭繊維、抗菌繊維といった機能性肌着が出ていますので これを選ぶと、かなり効果的です

最後に関西テレビ「newsランナー」視聴者から質問です。みなさん気になることが多いようで、たくさん質問がありました。

Q.アルコールとニンニクが好きです。汗のニオイに関係するの?

桐村里紗医師:
関係します。アルコール自体だとか、アルコールの代謝物のアセトアルデヒドですね、それからニンニクのニオイは、約48時間、全身の汗の管から香ってしまうんですね。なので大事なデートの2日ぐらい前からこういったものは控えていただくことが必要かもしれません

Q.ニオイを抑えられる食べ物・飲み物はありますか?

桐村里紗医師:
体臭の種類によるんですけども、例えば「加齢臭」は皮脂の酸化が関係しますので、酸化を抑える抗酸化食品、例えば野菜のポリフェノールとか、あとはビタミンCやビタミンEみたいな抗酸化食品をしっかり取ることで、皮脂の酸化が抑えられて、加齢臭を抑えられます。「ミドル脂臭」も「加齢臭」も皮脂が原因になっていて、皮脂の原料は中性脂肪です。だから中性脂肪が高くなるような油物とか甘いものとかお酒のとりすぎ、こういったものを抑えるライフスタイルが大事になってきますね

Q.脇にタオルを挟まないと、汗じみ・ニオイも出てくる。服についたニオイ、外出中はどうすればいい?

桐村里紗医師:
機能性の服を着ていただくのも良いです。あと服に使える消臭スプレーがありますが、お出掛け前に振っていただくことで予防できます。予防的に振ってもらうことで安心して外出できると思います

Q.相手に分かりづらいように汗とニオイを消す方法はありますか?

桐村里紗医師:
例えば居酒屋に行きます。靴を脱ぎます。靴を脱いだ瞬間にもうニオイがしてしまいますよね。ニオイがしてから消すことは難しいので、やはり予防的に足の裏に制汗クリームを塗っておくとか、予防的な対策をするように今年の夏から切り替えてみていただきたいです 

前もって対策することが大事だということです。ニオイが気になる季節、こういった対策を参考にしていただきたいと思う。

(関西テレビ「newsランナー」2023年6月19日放送)

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