高知自動車道「交通管理隊」に所属する23歳の新人隊員に密着。命がけで道路上の落下物回収を行う姿を追った。
ホテルマンから交通管理隊へ転職
高知自動車道・南国ICのそばにある「西日本高速道路サービス四国」交通管理隊の高知基地に所属する隊員は20人。

副隊長:
気を付け!敬礼!

高知自動車道の「南国IC - 新宮IC間」と「南国IC - 須崎東IC間」を2班体制で担当する。24時間365日、落下物の回収や事故・故障車の対応にあたっている。車が駆け抜ける中での作業は、まさに命がけだ。

落下物回収役の隊員:
まだ上がれ、上がれ!はい、行くぞ!おーい!(回収して)OK!
中には、大事故につながりかねない落下物もある。

落下物回収役の隊員:
重い。これ何?トラックシート?

高知基地の中で一番の若手・筒井佐夢さん(23)は、生まれも育ちもいの町だが名前は「サム」だ。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
姉が世菜(31)、兄が斗夢(30)で、私が佐夢で、元々他の人からも覚えやすい名前ということで、土佐で夢を持って生きてほしいということで親が付けてくれました

筒井さんは179cm95kgの立派な体格で、草野球チームではピッチャーも務めるスポーツマン。実は、1年半前まで高知市の老舗ホテル「三翠園」でホテルマンとして働いていた。車に興味を持ち始めたのがきっかけで、交通管理隊への転職を決めた。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
いろんな事案もあって、まだ経験をしたことないことも多いんですけども、とても充実した仕事ができている
本番さながらの訓練 定期巡回も
交通管理隊・筒井佐夢さん:
現場一時通行止めにする。コーン(標識)、えー…

筒井さんの同僚:
お客さま、すみません。後ろまで下がってもらっても大丈夫ですか
交通管理隊・筒井佐夢さん:
あ、そっか

この日は、朝から本番さながらの高速道路での事故の対応訓練。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
タイヤが外れている

運転手役:
ぼーっとしてて、横のワイヤー(ロープ)に当たって取れちゃったみたい

交通管理隊・筒井佐夢さん:
安全な場所、ガードレールの外でお待ち下さい

実際に高速道路中央のワイヤーロープへの接触事故は、右の前輪のタイヤが外れるケースがかなり多いという。

通行止めからの早期復旧を目指し、まずは道路をふさぐ事故車を一度後ろへけん引し、巡回車を前に移動する。
筒井さんの同僚:
設置完了。1回前進します

交通管理隊・筒井佐夢さん:
けん引準備完了。これより前方非駐(非常駐車帯)へ移動開始します

訓練開始から40分と少し時間はかかったが、なんとか移動が完了した。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
非駐(非常駐車帯)に入りました、OK!

先輩隊員:
「中央寄りに止まっているから滞留車が発生している」とか、「車が通過できない状態」とか細かいことを無線で管制(センター)に伝えられるようになってくれたら

交通管理隊・筒井佐夢さん:
100点満点やったら20~30点くらい。細かい状況を全然伝えられてなかったので、次の現場ではミスは許されないので改善していきます
1日の中で唯一、緊張感から解放される昼ご飯の時間だ。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
ここからまだ温めなんですけど、母が作ってくれていて、いつもまだ母に甘えて作ってもらってます。恥ずかしいんですけど。多分「きょう撮影ある」って言ったんで、力入れて作ってくれていると思います。いただきます。美味しいです
ーー筒井さんってどんな人?

交通管理隊・徳能宏則副隊長:
お人よしで悪い人間ではないです。恋人もいませんのでよろしくお願いします
ーータイプは?

交通管理隊・筒井佐夢さん:
タイプなんて、そんな…

交通管理帯・徳能宏則副隊長:
せっかくふったのに。ちゃんと言えや

交通管理隊・筒井佐夢さん:
好きになってくれた女性が好きですね(笑)
午後からは、南国ICと須崎東IC間を1往復する定期巡回に出発。交通管理隊は基本的に2人1組で、5年以上の経験がある隊員が必ず1人はいなければいけない。出発からわずか3分後…。

交通管理隊歴12年・鬼勢真治主任長:
これ落下物

交通管理隊・筒井佐夢さん:
了解。前方の非駐で止まります

この日は赤の旗を持っている監視役が鬼勢主任長、落下物を回収するのが筒井さんだ。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
落下物確認。回収します。回収完了!OKです

筒井さんが、長さ1メートルほどの板材を回収した。その後も次々と落下物を発見しては、回収していく。

高知自動車道の2022年の落下物など障害物の処理件数は2,167件で、1日平均では5件だという。タヌキやハクビシンなどの動物の死骸が最も多く、次いで布・ビニール類、自動車部品、木材などとなっている。
作業に大切なのは“チームワーク”
高知自動車道での作業は、他の高速道路に比べて困難なところがある。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
松山道とか高松道は路肩が広いので、すぐに落下物があったら止まれるんですけど、高知道は路肩が狭いので、非常駐車帯があるところでしか止まれないので、そこ(現場まで遠く危険なとこ)は大変なところ

橋梁やトンネル区間が多い高知道での落下物回収は、まさに命がけ。2人1組で作業するペアのチームワークが大事になってくる。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
車がすごいスピードで横を走っているので、やっぱり走行車両は常に気を付けてます。絶対目を離さない。あと、トンネルとかだと光っているものがあるんですけど、それにつまずいて転んでしまいそうな時もあったので、そこらへんはすごく怖い

この日は、2時間半で南国IC - 須崎東IC間を1往復して落下物の回収は8件。落下物は、弁当の空き箱、ペットボトル、板材などだった。

交通管理隊・筒井佐夢さん:
(落下物が)きょうは比較的多い方だと思います。大きい落下物もありましたので。それをしっかり回収して、事故の件数を1件でも減らしていけるように精一杯頑張り、お客さまも1回荷物の確認をしていただいて、落下物を落とさないようよろしくお願いします

新人交通管理隊員の筒井佐夢さんは、日々経験を積みながら高知自動車道を利用する人々の安全を守っていく。
積み荷を落としたり、落下物を発見した場合は、最寄りの非常電話やサービスエリアなどの安全な場所に停車し、道路緊急ダイヤル「#9910」に問い合わせを。
(高知さんさんテレビ)