全面禁煙の老舗旅館でたばこを吸った迷惑な客。このことがきっかけで、旅館が客に同意書を求める事態となっている。

情緒あふれる旅館…至る所に「禁煙マーク」

9日、取材班が向かったのは、山形県米沢市にある秘湯・白布温泉。情緒あふれる、かやぶき屋根の旅館「湯滝の宿 西屋」は、鎌倉時代の創業とされる。

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滝のように流れ落ちる源泉を豪快に浴びることができる温泉。

滝のように流れ落ちる源泉を豪快に浴びることができる温泉
滝のように流れ落ちる源泉を豪快に浴びることができる温泉

さらには名物・米沢牛のすき焼きを堪能すれば、日頃の疲れなどどこへやら。

そんな旅館で目についたものが…。

記者リポート:
旅館に入ってすぐの場所なんですが、禁煙マークが貼られています。そして、ここから3mほどの場所なんですが、その場所にも禁煙マークが貼られています。

入り口付近に禁煙マーク
入り口付近に禁煙マーク
わずか3mほど離れた場所にも禁煙マークが
わずか3mほど離れた場所にも禁煙マークが

館内の15カ所に貼り出された禁煙の張り紙…これは一体なぜ?

湯滝の宿 西屋 遠藤央子若女将:
景観上思うところはあったんですけれども、徹底するためにあちこちに禁煙の表示を貼っております。

若女将の怒りのツイート「詫びなされ!!」 客は口コミサイトで“逆ギレ”

禁煙の徹底を訴える若女将。ある迷惑客への怒りのツイートが大きな注目を集めた。

部屋で散々タバコを吸って臭いだけ残して帰っていかれたお客様。宿を何だと思ってる?
詫びなされ!!

この厳しい言葉を向けられたのは、去年12月、この宿に宿泊した50代の男性。
全館禁煙であるにも関わらず、客室でたばこを吸っていたというのだ。

さらにこの男性客は、ホテル口コミサイトのサービスや設備などの項目で、この宿に5段階中1をつける“逆ギレ行為”に及んだという。

湯滝の宿 西屋 遠藤央子若女将:
(部屋の)上半分が煙で満たされていたという状態ですので。古い建物なので、一度臭いが染みついてしまうと、なかなか取れないので。

若女将が宿での喫煙に神経を尖らせるのは、苦い記憶があるためだ。

火災でかやぶき屋根の旅館はここだけ 「同意書」の提出には賛否

2000年3月に白布温泉で火災が発生。燃えやすいかやぶき屋根の旅館が全焼した。

これにより200年以上前から残るかやぶき屋根の旅館は、若女将のところだけとなってしまった。

そこで考えた喫煙への新たな対策が…。

湯滝の宿 西屋 遠藤央子若女将:
全館敷地内禁煙であるということ。あらかじめご確認いただいた上で、こちらにチェックをいただいております。

5月から宿泊客に対し、宿での喫煙をしないとする「同意書」の提出を求めることにしたのだ。

宿泊客からは、「今の世の中を考えるとやらなきゃ。いけないんだなーっていう感じですかね」「初めてだから、そういうこと(同意書)も、ちょっとえ?と思いましたけど」といった声が聞かれた。

禁煙の同意書にネット上の反応は様々。

「同意書だけでは、また喫煙する人が出てくる」「値上げという対策をすればいのでは?」

宿泊施設が同意書を求めるケースは他にもあり、軽井沢のホテルではペットを布団やソファーの上に乗せる行為を、また、東京の高級旅館では寝間着での館内の移動を禁じている。

ネットで批判も受けたという若女将は、宿泊客に同意書の提出を求めることにした理由についてこう話し理解を求めています。

湯滝の宿 西屋 遠藤央子若女将:
唯一残ったうちのこの旅館をなんとしても守らなければならないと。火の元は徹底的に管理をしなければならない。

(「イット!」6月9日放送)