断面があまりよくない見た目でも気にせずに食べてほしい…。気持ち悪がられる断面の方が、むしろおいしいトマトだと紹介した農家のツイートが話題になっている。
気持ち悪がられる断面の方が「貴重」
まれに「トマトの断面が気持ち悪いのですが大丈夫ですか?」と聞かれます。写真のような断面はファースト系と呼ばれるトマトに多く、またフルーツトマトのように甘くなるように育てたりするとなりやすいです。問題ないので安心して食べてください。個人的に「霜降り」と呼んで春だけ食べられる貴重なトマトと説明しています。

ツイートをしたのは、新潟県にあるフルーツトマト専門農家の「曽我農園(曽我ファーム)」(@pasmal0220)。
この文章とともに投稿された画像には、種が入った「子室」がぎっしり並んだトマトの断面が写っている。不規則な子室の形から、小さな突起や穴などの集合体に苦手意識を持つ人などは「気持ち悪い」と感じることもあるかもしれない。

しかし、甘くなるように育てたりするとなりやすいもので、「春だけ食べられる貴重なトマト」だというのだ。
このツイートには、「見た目がちょっとグロいから気になってた!マジでこういう情報は助かる!」「ワンピースの何とかの実みたい」などの数々のリプライが寄せられ、1万いいねがつくほどの注目を集めている(6月8日時点)。
「霜降り」とポジティブな名前で説明
実はこの曽我農園、過去には自身が育てるトマトを「トメイトゥ」と命名したことや、エイリアンのような姿をした規格外のトマトの画像をツイートしたことで話題になった。
(関連記事:トマトからエイリアン!? 規格外のトマトのエグい姿が話題…“緑色”の正体と原因を農家に聞いた)
そんな曽我農園に、今回のツイートをした理由や、「霜降り」のトマトの見分け方やおいしい食べ方などを聞いてみた。
――なぜ、今回のツイートをしたの?
以前から何回かツイートしていましたが、直売所に来るお客さんやインターネットで購入される方で、まれに不安に思う方がいるのでツイートしました。
気味悪いという人に好きになってもらうため、あえてポジティブな名前で説明しています。霜降りの他にも「さし」が入ってるなどと説明しています。

――「トマトの断面が気持ち悪いのですが大丈夫ですか?」との問い合わせはどれくらいの頻度である?
現在はあまりありませんがまれにそういう方がいます。10年くらい前は「ゲノム編集」とか「放射能の影響」とかいうデマがツイートで流れて大変迷惑をしていました。
――「霜降り」のトマトの味の特徴は?
しっかりした酸味のあとに強烈な甘み、複雑な味わいの旨みがあります。

――「霜降り」のトマトが合う料理・調理方法を教えて。
フルーツトマトなのでそのまま食べれば強烈な甘みを楽しめます。料理ですと、ゼリー部が少なく果肉が詰まっているので、カプレーゼやハンバーガー、トマトステーキなどがオススメです。
「霜降り」になるのは「ファースト系」
――なぜあのような見た目になるの?
申し訳ありません。なぜこうなるかは実はわかりません。経験則で、ファースト系トマトをフルーツトマトみたいに育てると、4~6月には大体あのような断面になるということはわかっています。断面は海外でポピュラーな「エアルームトマト」に似ていて、昔の品種、固定種に近いと感じます。

――ファースト系とはどんなトマト?
1985年に「桃太郎」トマトが登場するまで主流だった酸味の強い品種です。冬場に低温で育てたファーストトマトは成長スピードが遅いわりにいびつですが実はぎっしりで味は抜群です。個人的にこのトマトの旬を「戸愚呂100%」(※)と呼んでいます。
※編集部注 冨樫義博のマンガ『幽☆遊☆白書』に登場するキャラクター。
――ほかにも、「霜降り」になりやすい種類はある?
私の経験ではピンク系(生食用)トマトよりも赤系トマト(加工用)がなりやすいと思います。ファースト系統の品種は加工にも向く赤系が多い気がします。
「霜降り」のトマトの見分け方
――「霜降り」のトマトはいつ食べられる?
地域によって様々ですが、一般的には冬~春にかけて、当農園のある新潟では4~6月までになります。
――トマトの旬は一般的に夏だと思うけど、なぜこの時期なの?
フルーツトマトは冬に栽培することで水分を制限しストレスをかけることで糖度を高めるので、収穫時期の春しか食べられません。
夏場は暑すぎて水分制限が出来ないので、このようなトマトを栽培するのは不可能です。ちなみにファースト系統の品種は冬から春時期の栽培に適した品種です。

――「霜降り」のトマトを見分ける方法はある?
ちょっと難しいですが、ファースト系特有の尖った見た目やゴツゴツ、モリモリした果実は一つの指針になるかも知れません。
まれに「トマトの断面が気持ち悪いのですが大丈夫ですか?」と聞かれます。写真のような断面はファースト系と呼ばれるトマトに多く、またフルーツトマトのように甘くなるように育てたりするとなりやすいです。問題ないので安心して食べてください。個人的に「霜降り」と呼んで春だけ食べられる貴重なト… pic.twitter.com/sc78agTzz5
— フルーツトマトの曽我農園 SOGA FARM トマトの世界 (@pasmal0220) June 4, 2023
見た目からは分かりにくいとのことだが、ファースト系の特徴を覚えて選ぶと、「霜降り」のトマトに当たりやすいようだ。その際には、紹介したおすすめの調理方法を試してほしい。