全国的に農業の担い手不足が問題となる中、宮崎県延岡市では農家戸数の減少に伴い、耕作放棄地が増加。手入れをされなくなった畑は荒れ、再び稲作ができるようになるまでに2年以上かかる。その解決策としてロボットを活用した米粉用稲作の実証実験が始まった。
省力化鳥型ロボット「雷鳥1号」
広い水田をゆっくりと移動する鳥型のロボット、その名も「雷鳥1号」。
足をバタつかせ水中の泥を巻き上げることで光合成を抑え雑草の生育を抑制する役割を担っている。
京都市のメーカーが開発
開発したのは、京都市のロボットメーカー「テムザック」。
テムザックは2022年延岡市と連携協定を締結し、いかに人の手をかけず農業ができるか、いわゆる省力化に向けた実証実験を始めた。その背景に耕作放棄地の問題がある。
全国的に農業の担い手不足が問題となる中、延岡市でも農家戸数の減少に伴い、耕地面積も年々減少。手入れをされなくなった畑は荒れ、再び稲作ができるようになるまでに2年以上かかると言われている。
テムザックの髙本 陽一 代表取締役議長は「荒地になってしまうと日本の田園風景が変わってしまう。どう防ぐかということを主軸にしたい」と話す。
ロボットの力で耕作放棄地を減らすことができるのか「実証実験」
さまざまなロボットを使って種まきから収穫までを行い、最終的には米粉を作ることが目標。
ドローンによる種まき
苗を育て植え付けるまでに通常1カ月かかる田植えも、ドローンで直播すればかかる時間はわずか3分。
重量を重くすることで水中に沈みやすく直播でも育成が可能。
稲の管理もスマホからの遠隔操作で可能。
水田の周りには様々なセンサーが取り付けられ、水温や風量などを常にチェックする。
どこにいても稲の状態を把握できる。
「雷鳥1号」が雑草の生育を抑える
全長60cm重さ約2kg、単純な動きをランダムに行うプログラミングにより、5台で群れとなって水田をまんべんなく動き回る。(約3日で10aの水田をかき混ぜる)
今後は収穫用のロボットの開発も計画中だ。
テムザック 髙本 陽一 代表取締役議長:
少しでも耕作放棄地を少なくして少しでもお米の生産を維持できるようにしたいと思っています。
省力化農業の実現に向けロボットの開発はまだ始まったばかりだ。