突然のイージス・アショア配備停止 理由は“費用”と“期間”

政府は15日、秋田県と山口県で進めてきた地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画を停止すると発表した。

地元住民からの強い反発や、計画の大幅な変更が必要になったことを理由に、あっさりと計画を撤回した政府の決定について、普天間基地の移設問題を抱える沖縄では、本土との間に対応の格差があると批判の声が上がっている。

15日に会見を行った河野防衛相。

河野防衛相:
イージス・アショアの配備のプロセスを停止いたします

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政府が北朝鮮などの弾道ミサイルを迎撃するため、山口県と秋田県に配備する計画だったイージス・アショア。ずさんな候補地の選定調査や、住民の安全確保が不十分だとして、地元からは強い反発の声が上がっていた。

今回、システム改修という技術的な問題が明らかになったとして計画を断念した、その理由に挙げたのが…

河野防衛相:
その開発の費用、あるいは期間を考えれば、残念ながら配備は合理的ではないと言わざるを得ないという判断をいたしました

ダブルスタンダードでは? 玉城知事「辺野古の方がより無駄」

「弾道ミサイル防衛能力の向上は喫緊の課題」と強調してきた計画を、あっさり撤回した今回の政府の対応に、普天間基地の移設問題を抱える県内からは、「ダブルスタンダードだ」と批判の声が上がっている。

16日朝、沖縄県の玉城知事は…

玉城知事:
コストとして考えたら、辺野古の方がより無駄な工事じゃないですか。普天間基地は即時閉鎖・返還、運用停止です

イージス・アショアのシステム改修には、約12年の開発期間と、2200億円の増額が必要だとしている。

一方、普天間基地の辺野古移設を巡っては、埋め立て予定海域で軟弱地盤の存在が明らかになり、工期は8年から12年に、総工費は約2.7倍の9300億円に膨れ上がると試算されている。

一方で、計画を白紙にし、一方では見通しも立たない移設を強行する政府の対応について、安全保障に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛教授は…

沖縄国際大学 前泊博盛教授:
(本土と沖縄では)ダブルスタンダード、トリプルスタンダードと言ってもいい状況にあると思います。辺野古問題について、全国民的な情報共有がされていないという印象を持ちます。安全保障問題に関しての日米安保の一番辛いところについては、沖縄に押し付けておけばいいというような印象すら受けますよね

日米の返還合意から20年以上がたった今も動かない、普天間基地の負担を強いられている宜野湾市民からは、不満の声が上がっている

宜野湾市民:
やっぱ、なんで沖縄だけ強行突破しているのかなと思う部分はありますよね。(基地が)沖縄にあって当たり前って思わせるようなやり方は汚いなって思いますね

宜野湾市民:
(本土の場合は)反対したらすんなり通るみたいな印象を受けるんだけど、辺野古に限っては、なかなかそれもできないみたいだから。ちょっとふに落ちない部分がたくさんあるんですよね

強行理由は何だったのか? 政府姿勢に秋田県も不信感

配備ありきでイージス・アショアの計画を進めてきた政府の姿勢には、配備予定地の代表も不信感を露わにした。

佐竹敬久秋田県知事:
出だしでしっかり全ての面から検証しておけば、こういうことにはならなかったのでは

穂積志秋田市長:
やはり、振り回された不毛な2年半だったなと思いますね

突然の国防方針の大転換について、河野防衛相は16日の衆院安全保障委員会で…

河野防衛相:
時々の判断はあったにせよ、やはりその時の判断として間違っているものはやめないといけない

沖縄国際大学・前泊博盛教授:
政府が強行している理由は何なのかということを検証する必要があると思います。これがされていけば、新型コロナで大金がかかるような大変な時代に、1兆円近いお金をかけてアメリカのための基地を造るのは、イージス・アショアと同じように中止せざるを得ないような状況に追い込まれると思います

玉城知事は16日夕方コメントを発表し、「イージス・アショアの配備計画と同様、相当なコストと期間を要する辺野古移設を断念し、普天間基地の1日も早い危険性の除去を実現するため県との対話に応じるよう」求めた。

(沖縄テレビ)

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