ビジネスでは文章で営業することもあるだろう。こうした中、相手への反応率が高い企業は、低い企業に比べて営業文の平均文字数が少なく、簡潔に書かれている傾向にあることがわかった。
調査したのは、営業支援ツール「FutureSearch」を運営する「FUTUREWOODS」(東京・文京区)。同社のツールを通じて、企業の問い合わせフォームに営業文を送った300社を対象に、反応率の上位30社、下位30社の傾向を比較した。
※ここでの反応率は、営業文に記載した「トラッキングURL」のクリック率から算出した。営業内容などに左右されないよう、調査期間は2022年4月1日~2023年3月31日の約1年間とした。
そうしたところ、反応率の高い企業と低い企業では営業文にいくつかの違いがみられたという。ひとつは平均文字数で、高い企業の628文字に対し、低い企業は725文字だった。
署名やURLも簡潔な傾向
また、反応率の高い企業は文末に署名を入れず、面談の希望日程や返信方法を記載して「よろしくお願いします」などの文言で締めくくっていたという。
さらに、反応率の高い企業は、営業文に記載したURLの数が少ない傾向にあったという。
FUTUREWOODSの担当者によると、相手からの反応率の平均値は上位30社が15.6%、下位30社が1.6%。100社に営業したとすると、高い企業は15~16社が反応するが、低い企業は1~2社しか反応しない計算になるという。
簡潔に表現する3つのポイント
この違いはどうして生まれるのだろう。相手の反応を呼び込むコツはあるのだろうか。メールなどの営業に応用できるところも多いことから、FUTUREWOODSの担当者にポイントを聞いた。
――文字数と反応率に関係があるのはなぜ?
企業には多くの営業文が届くため、読むに値する文章でない、自社と関連性が低いと思われるとスルーされます。簡潔に記載されていると読みやすいため、反応につながるのではないでしょうか。
――文章を簡潔に表現するにはどうすればいい?
ポイントが3つあります。一つ目は問い合わせのきっかけを冒頭に記載すること。何を見て連絡したのかを伝えることで、不信感を与えず、調べてから問い合わせているという印象を与えられます。
二つ目は、提供できるサービスや解決できる課題など、伝えたいポイントをわかりやすく記載すること。箇条書きを使ってもいいです。三つ目は、受け取り手が次のアクションを起こせるように、面談の希望日程や返信方法を明記すること。こうした点を意識しながらまとめるといいでしょう。
――冗長だと思われやすい、情報や書き方はある?
URLリンクを必要以上に配置する、クリックを促すために強調した表現をするのは避けた方がいいでしょう。文字数は増えますし、営業文っぽさも強くなります。長文という印象も与えるので読む気にならず、スルーされる可能性が高まります。
強調した表現は「▽▽弊社サービス詳細はこちら▽▽」や「↓↓詳しい記事はこちらです↓↓」といったものになります。クリックを促されることで不信感にもつながります。
メールの場合は署名があっても問題なし
――署名の扱いはどう考えればいいの?
会社名などを4~6行ほどで記載したものを署名として考えます。問い合わせフォームでの営業の場合、フォームに各項目の入力欄があるので署名を入れると内容が重複します。営業文っぽさも強調されるので、記載しなくてもいいでしょう。
メールでの営業の場合は記載して問題ありません。ただ、簡潔にしたほうがいいです。反応が良い企業は会社名、担当者名、連絡先など、必要最低限の情報でまとめられていることが多いです。
――営業文でしてしまいがちな失敗はある?
他者との差別化を意識して、口語に近いようなフランクな表現(例:〇〇なお悩みがあっても大丈夫です!など)を用いることですね。初対面では失礼になるので避けるべきです。受け取り手の企業が、理解・判断できるような表現にとどめましょう。商品を売り込もう、URLをクリックさせようという、アピール性が強い書き方も避けた方がいいです。御社のためにできることがあるので、連絡したという姿勢を伝えることが大切になります。
――営業文を書くときに意識してほしいことは?
次の行動を明記することですね。営業文の目的は相手のアクションにつなげることですが、次の行動が書かれていると、確認するなどの具体的な動きにつながります。例えば、文末に面談の希望日程や返信方法を記載することも、次の行動にあたります。
――文章で営業をしている人にアドバイスを。
相手企業のニーズを意識することです。企業は多くの営業文を受け取るので、問い合わせの冒頭で相手企業と関連性のある内容を伝えることが大切です。反応するかどうかは、担当者やタイミングにも左右されるので、数をこなすことも重要でしょう。
相手に自分と関係があると思ってもらえること、次にどうすればいいかの行動があると、反応につながりやすいようだ。ビジネスメールなどの書き方に困っている人は、参考にしてもいいかもしれない。