腐食が進み、むき出しになった骨組み、一部が吹き飛んでしまった、窓ガラス。

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人気のない建物が続き、まるで“廃墟”のような状態になっているのは、宮崎市にある商店街「青空ショッピングセンター」です。

県庁や市役所からほど近い、宮崎市の中心部に位置するこの商店街をめぐり、周辺住民から不安の声があがっています。

朽ちて今にも倒れそうな建物
朽ちて今にも倒れそうな建物

長年、修繕も解体もされなかった理由とは?「めざまし8」は現地を取材しました。

傾く天井…建物をつらぬく“巨木” 商店街の現状

取材班が商店街を訪れると、傾いた建物でただ一人営業を続ける店主の姿がありました。

昭和20年代から営業を続けている「稲口商店」の稲口文男さん(80)です。

この地で50年以上にわたって豆や砂糖を扱う食料品店を営んできましたが、店の2階部分は大きく傾いていて今にも崩れそうです。

稲口商店 稲口文男さん:
怖いですよ。私が怖いのは一番分かっているんだけど…。

店の裏には、建物を貫くように大きな木が生え、崩壊した屋根の代わりに、生い茂っています。

以前は、多くの人でにぎわっていたという商店街。

最盛期には400軒ほどの店が軒をつらね、現在の上野・アメ横ほどの人が行き交っていたといいます。

しかし、後継者不足や大型商業施設の進出などで、現在、営業する店は10軒にまで減少してしまいました。

老朽化でゆがんだ天井
老朽化でゆがんだ天井

稲口さんの店は、1階の天井部分が老朽化でところどころゆがみ、棚やレジには雨漏りを防ぐためのカバーが。

雨漏りを防ぐためのカバーがかけられている
雨漏りを防ぐためのカバーがかけられている

店主がいなくなってしまった他の店舗では、状況はさらに深刻です。

壊れた看板が残されたままの青果店や、入り口の引き戸がなくなり、むき出しになった建物。中には発泡スチロールやブルーシートなどが散乱しています。

さらに、「立ち入り禁止」とされているエリアに許可を得て入ってみると…。

足元にはゴミが散乱し、アーケードの屋根が一部崩落。地面には木材が散らばっています。

立ちはだかる“法律の壁”なぜ取り壊しできないのか?

今にも倒壊しそうな商店街。

周辺住民からも「行政にお願いするしかない」「なぜこんなに長く放っておいたのか分からない」と取り壊しを求める声があがっています。

長年、店を守り続けてきた稲口さんも、今、大きな決断を迫られているといいます。

稲口商店 稲口文男さん:
決めんといかんかなとは思っていますね。完全に営業…「廃業する」ということですよね。

しかし、それには大きな“壁”があると宮崎市の担当者はいいます。
それは、この商店街は一つの建物に複数の店が入る「長屋」作りになっており、所有者不明の土地が多く、手をつけることができないというのです。

宮崎市担当者:
数年前から調査を行っていますが、約80人の所有者のうち20人ほどが所在不明で、今も連絡が取れておりません。

こうした問題に詳しい、空家・空地管理センターの上田真一氏は…。

空家・空地管理センター 上田真一氏:
所有者が多すぎて、(所有)不明者までいるので、もう二重三重の難しさといいますか。法的なハードルがある物件だなと感じています。大原則としては(長屋の)共有者の方たちの話し合いでどうするかというのを決めていくことになるんですが、決議することすら難しいという状況なのかなと思います。

問題の解決に立ちはだかるのは法律の壁。
宮崎市は今後の対応について、めざまし8の取材に対し「何もしないわけにはいかないと思っていますが、解決に向けた、具体的なめどは立っていません」と回答しています。

(めざまし8 5月23日放送より)