7年前の熊本地震で亡くなった大学生、大和晃さんの両親がつないできた米の田植えが5月14日に熊本・阿蘇市で行われた。2023年は晃さんが縁で出会った子どもたちも参加し、両親には特別な思いがあった。

息子を失った両親の思い

阿蘇地域での田植えも佳境を迎えた5月14日。田んぼには高校生たちの楽し気な声が響いていた。

大和卓也さん:
4株から5株を1つで植えていってください

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高校生たちに田植えのやり方を教えるのは阿蘇市に住む大和卓也さん。卓也さんは田んぼの泥に足を取られはしゃぐ子どもたちよりも、この日を楽しみにしていました。

大和卓也さん:
会えるのが楽しみだった。子どもたちもニコニコと手伝ってくれてよかった

大和忍さん:
コロナでこんな機会はないかもしれないと思っていたけどこれだけ集まってもらえたのでうれしいですね

お米のバトンを子どもたちとつなぐ

そんな卓也さんと妻・忍さんに子どもたちを引き合わせてくれたのは、次男・晃さん。

晃さんは、7年前の熊本地震の前震で被災した友人に水などを届けた帰りに本震に遭い、犠牲となった。その1年後、当時、熊本市立白坪小学校の4年3組の児童だった子どもたちは、晃さんを通して命の大切さについて学び、大和さん夫婦との交流が始まった。

高校生:
(晃さんと)縁があったから交流ができ、いい経験になった

子どもたちが大切に植える苗は、晃さんが亡くなる前にモミまきを手伝った苗を両親が育て、実った稲穂から一握りの種モミをつくり、ずっとつないできたもの。

4年前に、子どもたちも田植えや稲刈りを手伝い、晃さんが生きた証しを一緒につないだ。

小学6年生(当時):
晃さんが亡くなる前に植えてご両親が植えて、そして私たちが大切なお米のバトンをつないでいくような感じ

小学6年生(当時):
晃さんもこんな感じで(手伝いを)やってたんだなと感じました

高校生:
家族が大事に育ててきたので温かみを感じた

亡くなった息子が結んだ縁

子どもたちと一緒につないだバトンは、種モミへと姿を変え、この7年間、多くの人の手を渡り、また、子どもたちの手に戻ってきた。

高校生:
(今回も)おいしいお米でした。田んぼの土に足がめり込んで歩くのが大変だった

高校生:
高校生になって親とケンカばかりするけど、でもちゃんと仲直りしてやっていかないといけないと思う

コロナ禍を経て4年ぶりに再会できた楽しい時間もあっという間だった。

大和忍さん:
バイバイ、またね。晃の弟や妹のように感じている。子どもたちの成長を見ていたい

大和卓也さん:
晃の米が子どもたちとの接点。うまくつないでいければ次は稲刈りなのでできれば会えるといいな

熊本地震から7年、亡くなった息子が結んだ縁は両親にとってかけがえのないものになった。阿蘇の田んぼでゆらゆらと揺れる晃さんが生きた証しも、再び子どもたちと会える日を楽しみにしているようだった。

(熊本テレビ)

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