親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」。2023年5月10日で開設16年を迎えた。
預けられた子どもに「出自」をどう伝えるかが課題となる中、近く、病院と熊本市が連携した検討の場が設置される見通しとなっている。
「10年前にはなかった」母親へのサポート
2021年度までの15年間に161人が預けられている「こうのとりのゆりかご」。

16年を前に開かれた5月9日の会見で蓮田理事長は「開設当初から変わったこと」として匿名で赤ちゃんを受け入れた上で、預けた母親への支援にも力を入れていると明らかにした。

慈恵病院・蓮田健理事長:
匿名であるはずの女性と相談員がつながるのは16年前あるいは10年前にはなかった

新生児相談室・蓮田真琴 室長:
自分の意思で(子どもを)置いていくというのはすごく罪悪感があると思うので、「何かあったら連絡してください」「いつでも来てください」と連絡をとるようにしています
開設当時から課題の「出自」の伝え方
一方、預けられた子どもに「出自」をどう伝えるかは、開設から16年がたった今も課題の一つだ。

蓮田健理事長は、熊本市と連携して設置の準備を進めているゆりかごや、内密出産で生まれた子どもの「出自を知る権利」の検討の場について、5月末にはメンバーを決定する見通しと明らかにした。

慈恵病院・蓮田健理事長:
親御さんたち(養親や施設関係者)の不安を軽くするためには、熊本から提言のようなものを発信できるように法律家にも集まっていただき、議論を重ねて何とか来年末までに形にできればと考えている
検討の場のメンバーは法律関係者や出自を知る権利の研究者などが選ばれる予定という。
(テレビ熊本)