これまで、発熱外来など一部の医療機関に限られていたコロナの検査や診療。新型コロナの感染の波が来るたびにひっ迫を繰り返していたが、5類に移行された5月8日以降は、原則、どの医療機関でもコロナ疑いの患者を診察することになる。

すべての医療機関で「コロナ患者」受け入れへ

大阪府は、9月までに小児科や内科が設置されているおよそ6000の医療機関すべてで、コロナの検査や診療対応ができるよう目指している。
ただ、この目標、「発熱外来」を設置していない医療機関にとっては、簡単に達成できるものではないようだ。

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大阪・住吉区の上野会クリニックには、高齢者や、抗がん剤治療を受けている人など、重症化リスクの高い患者が1日に300人以上、来院する。

上野会クリニック・上野正勝院長:
コロナ対応はおなじみさんしか診ない対応でした

これまではコロナの検査や診療は、かかりつけの患者に限定していて、外の隔離スペースで対応にあたっていたが、8日以降は、ルール上、新規のコロナ疑い患者も診ることになるが、毎日の診察枠はかかりつけ患者だけで埋まっているうえに、基礎疾患がある患者に不安を与えてしまわないかなど悩みは尽きない。そのため今後も新規のコロナ疑いの患者を積極的に受け入れることは難しいと院長は話す。

上野会クリニック・上野正勝院長:
がんの人とか、基礎疾患を持っている人は多いんですよ。その人たちをどんどん診てあげないと医療難民になるということですね。病院によっていろんな考えがあると思うんですが、基礎疾患を診ることも大事だと思います

他の医療機関からも「動線を分けられない」「医師本人が高齢で重症化リスクがあるため診察できない」などの声があり、すべての医療機関でコロナ患者を診るということは難しそうだ。これについて大阪府の担当者は…

健康医療部・西野誠部長:
具体的に悩んでいる方の相談に応じるなど色んな支援をしていきたい。どうしても対応が取れない場合についてはしっかりとほかの医療機関を紹介すると

一方、コロナの入院患者を受け入れる病院での対応も変化する。大阪市此花区の大阪暁明館病院。多いときで50人を超えるコロナの軽症・中等症患者を受け入れていた。

看護師:
これまではコロナ患者が入院する専用の病棟でした。ここから先が全てレッドゾーンになっていたんです

これまでは、4階部分のフロア全てをコロナ患者専用の病床としてベッドを確保し、空ている病床に対しては、「2類」の特別措置として、補助金が出ていた。今後は、最低限のコロナ患者の病床は残すものの、専用フロアとしての運用はやめ、コロナ患者もそれ以外の患者も同じフロアに入院することになる。ただ、コロナの感染力が強いためコロナ患者の部屋に、他の患者を入れることはないということだ。

通常の医療体制へ戻ることになるが、心配もあると話す。

暁明館病院法人本部・櫻井勇介部長代行:
患者が増えたときに我々の対応はこれまでほどには十分な防護・感染隔離が行えなくなるので、院内でも少なからず感染拡大が発生してしまう恐れがあります

Q.8日以降は予約や電話なしで病院に行ってもいいのでしょうか?

葛西医院・小林正宜院長:
熱が出たので病院に行こうという流れにはなると思いますが、病院でも隔離できる個室やパーティションを準備するなどの対応が必要になります。できれば受診する前に一度電話で言っていただけると非常にありがたいです

医療現場だけでなく、どう対応するか私たちにも判断が求められている。

(2023年5月5日 関西テレビ「newsランナー」)

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