2022年、アメリカで心臓の移植手術を受けた長野県佐久市の男の子「ゆうちゃん」。経過は順調で5月8日、小学校への通学を再開した。一家に、かつてのような「日常」が戻りつつある。
2年10カ月ぶり小学校へ

ランドセルを背負って元気に歩く佐久市の小学6年生「ゆうちゃん」こと中沢維斗さん(11)。
中沢維斗さん(11):
(歩いても平気?)大丈夫です、もう平気
重い心臓病を移植手術で乗り越え、5月8日、2年10カ月ぶりに小学校への通学を再開した。
中沢維斗さん(11):
とてもうれしかったです
難病の「拘束型心筋症」

生後まもなく、「大動脈弁狭窄症」と診断されたゆうちゃん。
小学3年生になった2020年には、心臓の筋肉が徐々に硬く、広がりにくくなる難病「拘束型心筋症」も患っていることがわかり入院した。

助かる道は心臓移植だけ。
しかし、国内でドナーが現れる可能性は低く、「猶予」を考えれば海外に渡るしかなかった。
母・加代さん(記者会見 2021年11月):
皆さまのお力をお借りして命をつなぎたいと思っています

渡米のため、両親や「救う会」は2021年11月、募金活動をスタート。支援の輪が広がり、当初の目標を超える2億5100万円が集まった。
中沢維斗さん(リモート会見):
皆さん、ありがとうございます。元気になったらまた会おうね
11時間に及ぶ手術で「命」つなぐ

2022年2月、ゆうちゃんは母親の加代さんと一緒にアメリカの医療機関へ。
一時、症状が悪化し補助人工心臓を装着する事態となったが10月、ドナーが見つかり、ついに移植手術を受けた。
11時間に及ぶ手術で「命」をつないだ。
父・智春さん(手術成功後の会見):
皆さんのお力があったからこそ、ここまでこられた。ありがとうございました

10カ月ぶりに日本へ
経過は順調で、2022年の暮れ、10カ月ぶりに日本へ。

中沢維斗さん:
イエーイ!
久しぶりにお兄ちゃんと会い満面の笑みを浮かべた。
中沢維斗さん:
とても最高です。いっぱいご飯食べたり、いっぱい遊んだりしたい
母・加代さん:
皆さんに対しての感謝の気持ちを息子にも教えていって、そういう気持ちを大切にできる子になってほしい
医師から通学再開のGOサイン

登校再開の前日の夜―。
母・加代さん:
名前書いてある?
中沢維斗さん(11):
書いてある
母・加代さん:
6年になってる?
中沢維斗さん(11):
3年…
7日夜、ゆうちゃんは小学校の持ち物を用意していた。医師から通学再開のGOサインが出たのだ。
走れるほど回復

8日朝、友達と一緒に、2年10カ月ぶりに小学校へ。
当面は給食を食べたら下校するスケジュールだが、体調を見ながら通常の学校生活に戻す予定だ。
8日は早速、休み時間に友達と遊び、久しぶりの小学校を満喫したようだ。

中沢維斗さん(11):
(友だちと)鬼ごっこ、合唱とか。とても楽しかったです。(何が一番楽しかった?)算数、ちょっと難しかった
走れるほど回復―。
中沢維斗さん(11):
(何の練習?)かけっことかの練習

戻ってきた日常 感謝を胸に
つながれた「命」―。
ゆうちゃんと家族は感謝を胸に、戻ってきた「日常」を歩んでいく。

中沢維斗さん(11):
国語とか、算数とかしたいかな、かくれんぼとか。(将来の夢は?)レストランとか開きたいなって
母・加代さん:
息子を、家族を支えてくださった皆さま、ドナーとなってくださったお子さまとご家族とか、数えたらきりがないほど多くの方の力のおかげで、今こういう生活が送れていると思っているので、本当に感謝しかないです。今まで学校に行けなかった分、友だちと仲良く楽しく過ごしてくれればそれだけでいい
ゆうちゃんは今後、修学旅行や音楽会、運動会などにも体調を見ながら参加するという。
(長野放送)