加藤勝信厚労相は7日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、「異次元の少子化対策」の財源に関し、医療や年金などの社会保険料引き上げによる確保に否定的な見解を示した。「年金や医療に使う金を子ども(政策)に持っていくというのは、正直余地はない」と述べた。

加藤大臣は「医療などは今でも保険料を上げていかざるを得ない。医療(保険料)は医療に使う、年金(保険料)は年金に使う。(給付と負担が)均衡する形で(保険料を)いただいている」と指摘。各社会保険の主目的以外に活用するのは困難だとの考えを強調した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
子育て予算の倍増に向けた財源に関して、経団連は「消費税も含めた新たな負担も選択肢にすべきだ」と指摘。理由として「社会保険料の負担が増大し、現役世代の可処分所得をさらに下押ししている」ことを挙げる。企業など雇用主の社会保険料負担は2012年以降、年率3%ずつ増加している。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
与党の中からは更なる社会保険料引き上げの声も聞こえてくるが、非正規雇用を増やす要因にもなり、逆に少子化が進むのではないかとの指摘もある。

市川眞一氏(ピクテ・ジャパン シニア・フェロー):
この10年間、企業の営業収益は年率1.6%しか増えてない。それに対して雇用主が負担する社会保険料は年率3%ずつ伸びてきた。企業にとり社会保険料負担は総人件費(に含まれる)。保険料が伸びるのであれば、賃金の伸びを抑制しようとなる。特に日本の場合はなかなか解雇が難しい。苦しい時でも人を減らすことができない。社会保険料が上がっていくということは、企業にとっては雇用を抑制したり、賃上げを抑制したりする要因になる可能性が非常に高い。

松山キャスター:
少子化対策の財源に社会保険料をあてるかどうか。自民党の茂木幹事長は先ごろ「増税や国債発行を想定していない」とした上で、「社会保険料の引き上げではなく、既存の保険料収入の活用で財源確保を検討する」という趣旨の発言をした。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
楽な政治に逃げている。社会保険料を少子化対策に使うのか。医療、年金、介護の保険料は、医療、年金、介護に活用してもらわなければいけない。金を生み出すのは国債、増税、歳出改革しかない。源泉徴収、天引きでもあるから労働者はなんとなく社会保険料を取られても当然だというような意識がどこかにある。政治は一番そこに行きやすい。これは逃げだ。国債発行という考え方もあると思うが、これだと改革が進まない。まずは政治行政がしっかり改革で無駄を省く。必要なところは国債発行もあるのだろう。増税もあるのかもわからない。でも、一番やってはいけないのは、一番取りやすい社会保険料から簡単にとって流用すること。こういう楽な政治に逃げて欲しくない。

加藤勝信氏(厚生労働相):
医療、介護、年金、雇用で社会保険料をいただいている。それぞれ医療(保険料)は医療に使う、年金(保険料)は年金に使う、それぞれ目的と負担の関係で(制度を)作っているから、年金に使う金を、医療に使う金を子ども(政策の財源)に持っていくというのは、正直余地はない。今でも医療などは保険料を上げていかざるを得ない。したがって、それとは別の形でどういう議論をするのか。これまでもいろいろな議論があった。負担をどうするか。「社会保険料方式の」という形で負担してもらう、あるいは、税で負担していく。様々な議論があった。それらを踏まえてどういうことを進めていくのか。やるべき施策との関係も含めてよく議論させてもらいたい。

橋下氏:
では、既存の社会保険料をそのまま子育て政策に流用することはないということか。

加藤大臣:
余地がない。いま目一杯。目一杯というか、(給付と負担が)均衡する形で(保険料を)いただいているから、そういう余地はない。これまで社会保障改革を様々してきた。その結果として保険料の伸びを抑制してきた。こういう積み重ねをやってきたという事実はある。
            
松山キャスター:
茂木幹事長は、新たな基金を設けたらどうかという考えも述べている。
            
加藤大臣:
そこは子ども関係の支出がどうなっているか。基金というか、ある意味特別会計的なものなのだろうと思うが、そういう施策でだいたいこういう形の費用を、今はそれぞれの予算に入っているからトータルいくら出ているよ、ということをよりわかるようにしていくのは一つの考えだ。

橋下氏:
それは増税だと思う。はっきりそう言わなければいけない。

加藤大臣:
いや、増税というか、会計の仕組みの話だ。その財源をどうするかは、これからしっかり議論しなければいけない。

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