大分県大分市の南に位置する戸次本町。大分市では唯一と言っていいほどの歴史的な町並みが残っているところだ。この町で「食文化」を見直し地域のにぎわいにつなげようという取り組みが始まり、この春、新しい看板メニュー「だいなんワッフル」が誕生した。

歴史的な町並みが残る戸次本町

戸次本町は、福岡から鹿児島を結ぶ街道「日向街道」沿いにあり、近くには大野川。ここは交通の要衝だった。かつては「在町」と言って、江戸時代から「市」が成立し、栄えた町だ。歴史的な町並みが残っていて、地元の人も、この町並みを保存しようと、さまざまな取り組みを行っている地域だ。

歴史的な町並みが残る戸次本町
歴史的な町並みが残る戸次本町
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食文化を掘り起こし、地域のにぎわいに

その戸次本町を中心とした大南地区を舞台に大分市は、食文化を掘り起こすプロジェクト「大南 食のいまむかしプロジェクト」を進めている。これまで大分市は、町並み保存のために建物や道路などハードの整備を地域の方達と行ってきたが…

大分市まちなみ整備課 松尾さん:
令和3年度からソフト施策に転換し、戸次本町賑わい創出事業という事業で実施しています。

今回は「食文化」を見直して、地域の賑わいにつなげよう!という取り組みだ。まず行ったのは、「地域の食文化」を残す作業。地域の人たちに聞き取り調査を行った。ああ、こんなのあったねぇ!という声が聞こえてきそうな、無くなりつつある「郷土料理」を残すためにパンフレットにまとめた。

「大南 食のいまむかしプロジェクト」
「大南 食のいまむかしプロジェクト」

「だいなんワッフル」誕生

次に行ったのが「いまどきで」「だいなん」らしい新たな看板商品の開発!その答えが「ワッフル」だった。この春、大南地区の6つのカフェやお店で「だいなんワッフル」という名前をつけて提供を始めた。

そのうち一つが、戸次本町「からはな百貨店」、こだわりの食材を量り売りで買えるお店だ。店主の井藤さんもプロジェクトに協力し、「だいなんワッフル」をメニューに加えた。

「からはな百貨店」井藤優子さん
「からはな百貨店」井藤優子さん

井藤さん:
誰もがすぐワッフルって聞いただけで何か分かるし、結構誰でも好き。だからいいんじゃないかな、いいなって思いました。どんどん新しいことをやって、どんどん街が盛り上がっていくのはいいよねって、近所の方たちも言ってて。

「だいなんワッフル」
「だいなんワッフル」

なぜワッフル?

でも、なぜ地域の看板商品がワッフルになったのか?その仕掛け人はフードディレクターの木村真琴さん。

フードディレクターの木村真琴さん
フードディレクターの木村真琴さん

木村真琴さん:
理由が二つありまして、一つはこの地域が、お米よりも昔から小麦粉がとれてた、それで小麦粉料理が多かったっていうのが一つ。あと二つ目が、この辺りって大野川の氾濫で水害が結構あったんですね。それで“輪中”という水害に備えた建物がある。それが石垣が積んであるもの。そしてもう一つ、この辺りが“在町”だったのでなまこ壁が多い町並みなんです。

なまこ壁
なまこ壁

確かに…。「ワッフル」にも見えてきた。

佐世保と言えば「佐世保バーカー」のように、「だいなん」と言えば「だいなんワッフル」と言われるようになるのが目標だ。

懐かしい味を掘り起こし、新しい看板メニューがこの春、この歴史ある町に生まれた。

(テレビ大分)

テレビ大分
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