犯罪の実行犯を募る「闇バイト」を通じて覚醒剤の密輸に関わった疑いで、岩手・花巻市の男が3月に逮捕された。SNS上にあふれる「闇バイト」の求人。その見極め方は？また、応募してしまったらどうすればいいのか。警察に聞いた。
「闇バイト」の募集は主にSNS
報酬と引き換えに犯罪行為を請け負う「闇バイト」。その実態は、特殊詐欺などの犯罪の“実行役”だ。
岩手県内では3月、末端価格約5億8,000万円分の覚醒剤を海外から密輸した疑いで、県警が花巻市の男を逮捕、その後起訴された。
男はSNSから闇バイトに応募し、覚醒剤の受け取り役を担ったとみられ、警察の取り調べに「金欲しさで犯行に関わった」と動機を供述している。
県警サイバー犯罪対策課の佐々木弘樹警部補は「闇バイト」がまん延する理由をこう分析する。
県警本部サイバー犯罪対策課 佐々木弘樹警部補：
闇バイトを募集する手口は主にSNS。いつでもどこでも募集できるので全国的に広まったと思う
内記和人記者：
実際にSNSで「闇バイト」と検索してみます。直接的なワードでも、かなりの「闇バイト」らしき求人が出てきますね
2022年から全国で相次いだ広域強盗事件では、犯行グループが実行役を担う「闇バイト」のメンバーをSNS上で募集していたことが明らかになっている。
「日当15万円以上」「楽に稼げる」。こうしたうたい文句に誘われ、中身が違法な薬物と知らずに、荷物の受け取り役を請け負うケースなどもあるという。
これって闇バイト？見極めのポイントは“隠語”
真っ当な求人もある中、「闇バイト」の勧誘を見極めるポイントはあるのだろうか。
県警本部サイバー犯罪対策課 佐々木弘樹警部補：
闇バイト募集のSNSには「隠語」が使われる。詐欺の受け子や出し子を示唆する内容が書かれていることが多い
闇バイトの求人で注意するキーワード。「裏バイト」や「受け」「運び」といったわかりやすいものもあるが、受け子と出し子を差す「UD」、強盗を示す「叩き」といった「隠語」がある。また、仕事の内容が明確でない求人も要注意だ。
では、闇バイトに加担した人はどんな道をたどるのだろうか。
「指示役が実行役を守ることはない」
3月、宮城県で起きた特殊詐欺事件では、闇バイトの指示役が実行役のスマートフォンに送った“巧妙な手口”を警察が公開している。
「印鑑取りに行ってる隙に事前用意した封筒とすり替え」
「すり替えできたら咳払い1回」
こうした指示のもと、財務局職員になりすまし、宮城・仙台市内の男性の自宅を訪れて、キャッシュカードをすり替え盗んだ疑いで実行役の男が逮捕。
一方で、犯行を指示した何者かは逮捕に至っていない。
これには、指示役の“冷酷な思惑”があると佐々木さんは話す。
県警本部サイバー犯罪対策課 佐々木弘樹警部補：
指示役が実行役を守ることはない。（実行役が）逮捕されれば、指示役は連絡が取れないように雲隠れする
もし応募してしまったら？
また、一度闇バイトに加担してしまうと、応募した際に伝えた個人情報をもとに、脅迫されることもある。
県警本部サイバー犯罪対策課 佐々木弘樹警部補：
「家族に危害を加える」などと脅され、（闇バイトから）抜け出せなくなる
そして「高収入」などうまい話の求人は「闇バイト」だと疑ったほうがいいと佐々木さんは言う。
県警本部サイバー犯罪対策課 佐々木弘樹警部補：
高額な報酬がもらえることで応募するケースが多いが、そういううまい話はない。もし応募してしまったら最寄りの警察署に相談してほしい
身近に迫る「闇バイト」。甘い話にだまされ、知らないうちに犯罪に加担しないよう、自分の意思で見極めることが大切だ。
（岩手めんこいテレビ）
