自転車に乗る時のヘルメットの着用は、道路交通法の改正によって、2023年4月1日から努力義務となった。これまでの対象は13歳未満だったが、全ての年齢に広がったが、現在のヘルメットの着用は4%、警察は「家庭から習慣付けてほしい」と話す。

まだまだ低い…ヘルメットの着用率

2023年4月1日から、自転車に乗る時のヘルメットの着用は、道路交通法の改正によって、努力義務となった。背景には相次ぐ自転車の事故がある。

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警察によると、岩手県内で2022年までの10年間に自転車乗車中の交通事故で死亡した人は54人で、このうち約6割が頭に致命傷を負って亡くなっている。

自転車同士が時速20kmで衝突し転倒すると、ヘルメットがない場合は、ある場合に比べて頭に17倍もの衝撃があるという。

提供:JAF
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警察庁の調べでは2022年、自転車乗車中の事故で死傷した人のうち死亡した人の割合は、ヘルメットを着用していた場合は0.21%、着用していない場合が0.54%で、着用していた場合の約2.6倍だった。

提供:JAF
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ヘルメットを着用している人からは、「若い人みたいにスピードは出さないが、たまにびゅっと出てくる人もいて、自分の安全のために着けていた」といった声が聞かれた。

4月4日、実際、どれくらいの人が自転車乗車中にヘルメットを着用しているのかを観察した。岩手・盛岡市本宮の交通量の多い交差点で1時間の間に、自転車に乗って通行した47人のうち、ヘルメットを着用していた人は2人だけだった。割合にするとわずか4.3%と低い数字だ。

これは警察庁が2023年2月から3月にかけ、他の13都府県で行った調査結果の4%とほぼ同じで、努力義務化されても浸透していないようだ。警察では次のように分析している。

盛岡西警察署・浅野渉交通課長:
大人世代の教育がなかなか進んでこなかった。今回の法令の改正を受けて、そういった方々の指導も実施したい

今回の法改正は、ヘルメット着用は努力義務であり、着けていないからといって罰則はない。

そのため、ヘルメットを着用していない人からは、「髪をセットしたのに、かぶるとくずれたりするのでかぶりたくない」、「罰金と言われればかぶらないといけないと思うが、努力義務と言われても、(ヘルメットも)結局はお金出して買うものだから」といった声が聞かれた。

前年の“4倍”もの売り上げ

一方、着用していない人の中には、「自転車を買いに行った際、ヘルメットが品切れでそのままかぶらない状態で乗っている」といった理由の人もいた。

自転車用具を扱う販売店・DCM盛南店の岡田優典副店長は、「岩手県のヘルメットの3月の販売状況は前年の4倍となっている」と話す。DCM盛南店では、多い時で350点以上の品ぞろえがあったが、4月4日時点で棚にあるのは子ども用がほとんどで、大人用のものはほぼ売り切れとなっていた。

店舗によると、在庫を補充するため発注を続けているという。着用の際に注意することについても聞いた。

DCM盛南店・岡田優典副店長:
隙間があると、転倒した際にヘルメットが飛んでしまって役目を果たさないので、しっかりピッタリとサイズに合ったものを購入していただきたい

後ろのアジャスターを締めてサイズ調整し、あごひもに指が1本か2本入る状態が正しい着用の仕方だ。

家庭からの習慣付けが大切

警察では今後、ヘルメットの着用率を高めるため、広報活動や指導を行っていくということだが、家庭でも取り組みを進めてほしいとしている。

盛岡西警察署の浅野渉交通課長は、「シートベルトもそうだったように家庭から習慣付けてほしい。子どもが出掛ける時に一声かけるとか、会社に出掛ける時に一声かけるとか、家庭での一声をぜひ進めていってほしい」と話していた。

「自分だけは大丈夫」、その油断に潜む“もしもの事故”に備え、自分の命を守るヘルメットを着用することが大切だ。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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